2017 Fiscal Year Research-status Report
認知症における脈絡叢を介した尿酸の脳内移行の影響について
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17K15896
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Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
植村 直哉 香川大学, 医学部, 助教 (20795124)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 尿酸輸送体 / 脈絡叢 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度、尿酸の脳内での輸送動態を明らかにする目的で尿酸輸送体であるGLUT9とURAT1の研究を進めた。研究結果であるGLUT9のヒト脈絡叢上皮細胞と脳実質の上衣細胞での局在、URAT1のヒト脈絡叢上皮細胞における局在を報告した(Neurosci. Lett., 2017, 659, 99-103)。脈絡叢と近位尿細管でのGLUT9とURAT1の免疫反応は細胞質の膜の面(apical/basal)では対照的であることは非常に興味深い結果であった。腎臓ではGLUT9が近位尿細管上皮細胞の基底側の細胞膜に、URAT1が尿細管管腔側の細胞膜に存在し、尿細管管腔内から上皮細胞を経由して血管側へ尿酸を輸送(再吸収)していることが知られている(Nature, 2002, 417, 447-452)。今回の脈絡叢における免疫組織化学的検討から尿酸は脈絡叢の基底膜側から脳室側へ輸送される可能性が示唆された。平成30年度は高尿酸血症を含めたヒト脳脊髄液中の尿酸値と血清尿酸値の検討のため臨床研究の準備を進めている。また、各種病態モデルマウス脳において尿酸輸送体の発現パターンや発現量の変化を免疫反応、ウエスタンブロット、定量的PCRにより解析する。また、脳以外の組織における尿酸輸送体の局在も明らかにしていく。尿酸の中枢神経系への影響、特に抗酸化作用、神経保護作用のメカニズムはまだ解明されていない。尿酸の抗酸化作用や神経保護作用は認知症、アルツハイマー病、パーキンソン病やその他の難治性神経系疾患の新たな予防法や治療法の開発に応用できる可能性があるためこの分野での研究を進めていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
尿酸輸送体であるGLUT9とURAT1のヒト脈絡叢上皮での局在を免疫組織化学的に検討した。共焦点レーザー顕微鏡を利用し、蛍光抗体による二重染色によりGLUT9とURAT1の局在を明らかにした。また研究により得られた結果を論文にまとめて報告した(Neurosci. Lett., 2017, 659, 99-103)。
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Strategy for Future Research Activity |
①高尿酸血症を含めたヒト脳脊髄液中の尿酸値と血清尿酸値の検討のため臨床研究を進める ②各種病態モデルマウス脳における尿酸輸送体の発現パターンや発現量の変化を免疫反応、ウエスタンブロット、定量的PCRにより解析する ③脳以外の組織における尿酸輸送体の局在を検討する
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Causes of Carryover |
香川県で開催された学会での発表であったので旅費が当初の予算ほどかからなかった。平成30年度の旅費、または試薬や抗体の購入・作成に使用する。
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Research Products
(2 results)