2017 Fiscal Year Research-status Report
Cost effectiveness analysis for multi-factorial intervention for elderly inpatients with delirium
Project/Area Number |
17K15905
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Research Institution | St. Luke's International University |
Principal Investigator |
大出 幸子 聖路加国際大学, 専門職大学院公衆衛生学研究科(公衆衛生大学院), 准教授 (80505074)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 高齢患者 / せん妄 / 作業療法 / 複合介入 / 費用効果分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、せん妄症状をきたした高齢患者を対象に、以下、3つの介入を行い、その効果を費用効果分析の手法を用いて評価することを目的としている。計画している3つの介入は、1. 専門医、専門看護師によるチームラウンドの体制確立、2. 治療薬剤処方のモニタリングの実施、3.せん妄の寛解を目標とした院内デイケアプログラムである。院内全体で、多職種の協力が必要であり、医師(心療内科、精神科、神経内科)、看護師(精神専門看護師、認知症看護認定看護師、訪問看護認定看護師)、作業療法士と協力して行っている。1.のチームラウンド体制の確立は、研究1年目に確立することができた。1年目の途中で、精神専門看護師1名の退職があり、人員の調整が必要となったが、新たに4名の専門看護師がチームに加わり、心療内科医師と共に週1度の病棟ラウンドを行うことができた。効率よく病棟スタッフとの情報が共有できるように電子カルテにも病棟ラウンド結果記録し、せん妄フラグを立てて、院内デイケアの候補患者をピックアップし、薬の調整を行っている。2の治療薬剤処方のモニタリングの実施は、病棟ラウンド時にせん妄患者への処方薬剤をモニタリングし、改善の余地がある場合は主治医への助言を実施している。推奨薬剤をアルゴリズムを作成して周知を行ってきたが、薬剤内容に一部改訂が必要が生じたため、2年目にアルゴリズムのもう一度改訂を行うことにした。3.の院内デイケアプログラムは、必要物品が揃い、ラウンドチームが選定した患者を対象に、今年度54名、12回行った。合計30回、90~150名の患者データを最終的には、費用効果分析で用いたいと考えているが、もうしばらく時間が必要となる可能性がある。今年度1年間にわたって、関係者全員で集まるミーティングは、3ヶ月に1度、4回行った。加えて、費用効果分析については別途専門家の指導を得ることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究は、複数の専門的な介入が含まれるため、院内全体で、多職種の協力が必要であり、医師(心療内科、精神科、神経内科)、看護師(精神専門看護師、認知症看護認定看護師、訪問看護認定看護師)、作業療法士と協力して行っている。計画立案時に、チームの中心的に活動していた精神専門看護師が家庭の事情により退職し、人員調整に多少の時間を要した。研究チームは、精神看護師の1名減少したが、新たに認知症看護認定看護師3名、訪問看護認定看護師1名の合計4名が加わり、専門医と協力したチームラウンド体制の確立できた。チームラウンドを通した患者選定も順調に行えるようになり、院内デイケアの患者への提供もスムーズに行えるようになったが、費用効果モデルを構築するためのデータ収集にはもうしばらく時間がかかる見込みである。この間、費用効果モデルの専門家である神戸薬科大学森脇健介講師とのミーティングを重ね、推定データ収集のための文献検索を行い、ツリーモデルの枠組みの構築と収集が必要なパラメーターリストの作成を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
研究の計画に変更はない。引き続き患者への対応を重ね、データを収集し、費用効果分析を構築する予定である。適応できる薬剤に関して最新のガイドラインに基づいた処方と、患者のケアに関する情報もドッキングしたリーフレット案を作成したく、2018年度にもう一度、リーフレットの改訂と勉強会の実施を行う予定としている。
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Causes of Carryover |
本研究では、神戸薬科大学講師の森脇健介講師から費用効果分析について、専門的なアドバイスを頂きながらモデルの枠組みの構築を行ってきた。具体的な内容としては、TreeAge Proを用いたツリーモデルの作成、モデルに組み込む予定のパラメーターの収集と文献検索などである。研究立案時には、森脇先生の所属先である、神戸薬科大学でのミーティングを計画していたが、森脇先生が今年度別の研究で、国立保健医療科学院に週1度来る予定があり、その機会に合わせて、当大学にお越しいただいてミーティングを重ねたので、旅費の計上が必要なくなった。また、今年度、治療薬剤処方のモニタリングにおいて、リーフレットを作成し、各病棟へ配布したが、研究立案時からリーフレットのドラフト案を作成しはじめていたため、迅速に配布を完了したかったため、印刷代については研究費から支出しなかった。リーフレットについては、今年度、さらなる改訂を行いたく、次年度は研究費からの支出を予定している。
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