2018 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
17K15919
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
水野 恵 山形大学, 医学部, 医員 (00715394)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 肝内神経線維 / 慢性肝疾患 |
Outline of Annual Research Achievements |
肝臓の自律神経線維は、血流量、胆汁分泌、代謝などの調節を行っているとされる。例えば、交感神経遠心性線維の刺激により、肝ではグリコーゲン分解や糖新生が促進され、血糖が上昇する。副交感神経遠心性線維の刺激では、逆にグリコーゲン合成が促進する。求心性線維は、肝内の浸透圧、糖や脂質の濃度などの情報を脳に伝達し、フィードバック機構が働くと考えられている。 肝線維化に関与するとされる肝星細胞にはアドレナリン受容体が発現しており、自律神経支配を受けていることが示唆される。このことから、肝内自律神経線維は、肝線維化にも関わっていると考えられる。しかし、肝疾患ごとの自律神経線維の変化については十分な検討がされていない。 本研究では、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、ウイルス性肝炎といったヒトで代表的な慢性肝疾患における肝内神経線維の変化と機能の解明を目的とし、肝生検標本を用いて免疫組織化学染色にて神経線維を同定し、正常肝と比較検討した。これにより、慢性肝疾患では神経線維が減少していることと、肝疾患の原因によって差がある可能性が示された。また、肝線維化が高度な群では、軽度な群よりも有意に神経線維量が減少していたことから、線維化と神経線維量が関連していることが示唆された。 また、慢性肝疾患における神経線維の減少を他の動物種でも検討するため、慢性肝疾患モデルマウスとして、四塩化炭素の腹腔内投与を試みた。四塩化炭素を腹腔内に8週間投与することで作成していたが、十分な線維化とはいいがたかったため、投与期間を延長する必要があると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
免疫組織化学染色にて神経線維を同定する際には、神経線維以外で染色性を有する部分を手作業で除去しながら定量している。このため、読影時間が長くなってしまい、作業が若干遅れている。 慢性肝疾患モデルマウスについては、四塩化炭素を腹腔内に8週間投与することで作成していたが、十分な線維化とはいいがたかったため、投与期間を延長する必要があると考えられた。ヒトの慢性肝疾患とは機序が異なると考えられるため、更にNASHモデルマウスでの実験を開始する予定としている。
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Strategy for Future Research Activity |
C57BL/6マウスに週2回、12週間の四塩化炭素腹腔内投与を予定している。投与終了直後、4週後、8週後の肝臓を摘出し、全神経マーカーとして抗PGP9.5抗体、交感神経マーカーとして抗チロシン水酸化酵素抗体を用いた免疫組織化学染色にて神経線維を同定、定量し、肝線維化およびその回復期における神経線維の変化を検討する。 また、NASHモデルマウスについても、NASH回復期を含めて同様の検討を行う方針である。
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Causes of Carryover |
マウスの実験に用いた物品の額が想定よりも安価であったため、次年度使用額が生じた。次年度はこれを追加して、マウスを用いた実験で本年度よりも長期間の観察を行う予定である。
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