2017 Fiscal Year Research-status Report
原発性胆汁性胆管炎におけるmiR-139-5p生体内分子機構の解明と創薬開発応用
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17K15921
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
勝見 智大 山形大学, 医学部, その他 (70637355)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | PBC / miR-139-5p |
Outline of Annual Research Achievements |
原発性胆汁性胆管炎(PBC)は胆管上皮障害を特徴とする疾患であり予後良好な緩徐進行型、予後不良な門脈圧亢進症型、肝不全型に分類されるがその病因は未だ解明されていない。以前我々はmicroRNA に着目し、網羅的解析によりPBC病型毎に異なる発現パターンを持つことを特定した。また、PBC肝内リンパ球においてmiR-139-5pが高発現しc-FOS抑制を介した新規炎症制御メカニズムを初めて解明した。本研究ではこれらの成果を発展させ、miR-139-5pがPBC病態進行に関与しうる特異的な因子として着目し、最終的には分子標的治療薬の開発へと発展させることを目的としている。 今年度実施した研究内容は当初の予定通りに培養細胞2種類(T リンパ球細胞 (Jurkat)と胆管上皮細胞(H69)を使用)を用いてmiRNA 干渉しmiR-139-5p を低発現させた。播種細胞数は1x10^5cells/plateとし、24時間後に lipofection 法でmiR-139-5p inhibitorを投与した。投与後48時間経過した後にtreated cells及び培養上清を回収した。 その結果、miR-139-5p細胞内の発現低下効率は同程度であった。次に炎症性サイトカイン測定として培養上清中のTNF-α濃度をELISAで測定した。これまでの研究結果からはmiR-139-5p発現低下させたものの、特定の炎症性サイトカイン濃度の変化までは認めなかった。miR-139-5pの標的因子であるc-FOSに関しても発現変化は認めていない。これはmicroRNAは翻訳後抑制というメインな機能が主体であるため単純なmicroRNA抑制のみではその標的因子の増加まではすぐには影響しないものが予想される。この点でmiRNA inhibitor濃度や投与期間を調節することで現在検証実行中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の実験計画はこれまで特定したmicroRNAと特定したその標的因子のc-FOSに着目しており、初年度研究実施計画予定としてはそれらを踏まえたoppositeな研究計画であるためその方法はすぐに実行することが可能であった。培養細胞も予定通りに当教室で所持している2種類の細胞を用い検証することが出来た。今までのところは期待しうる結果とはなっていないが、今後の試薬濃度などの調節によりより進んだ検証が可能である。 従って今年度の研究進捗状況としてはほぼ計画通りに進展していると判断出来る。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度研究計画通りに進捗しており、このまま検証を継続していく。また計画内容には記載していないがmicroRNA inhibitor濃度の変更や、試薬投与期間の変更などを追加しより影響が出るであろう濃度、期間を定めていく必要がある。次年度の研究計画ではin vivoでの検証になるが、これはin vitroでの確定し得た結果を実際のvivoではどのように反応しうるか重要な検討であるため、現在その計画に向けて使用マウスの準備に取りかかる予定である。
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Causes of Carryover |
初年度の試薬代が割引価格であったためより低価格で購入できたことにより次年度使用額として生じた。 次年度請求分に関して予定通りの実験計画で進めていくが、マウス実験のため予期せぬ結果で予想よりも必要な飼育数が変更になることもあるため今回の次年度使用額も使用し全体予算内にまとめる予定である。
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