2018 Fiscal Year Research-status Report
原発性胆汁性胆管炎におけるmiR-139-5p生体内分子機構の解明と創薬開発応用
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17K15921
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
勝見 智大 山形大学, 医学部, その他 (70637355)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | PBC |
Outline of Annual Research Achievements |
原発性胆汁性胆管炎は胆管上皮障害を特徴とする疾患であり予後良好な緩徐進行型、予後不良な門脈圧亢進症型、肝不全型に分類されるがその病因は未だ解明されていない。以前我々はmicroRNA に着目し、網羅的解析によりPBC病型毎に異なる発現パターンを持つことを特定した。また、PBC肝内リンパ球においてmiR-139-5pが高発現しc-FOS抑制を介した新規炎症制御メカニズムを初めて解明した。本研究ではこれらの成果を発展させ、miR-139-5pがPBC病態進行に関与しうる特異的な因子として着目し、最終的には分子標的治療薬の開発へと発展させることを目的としている。今年度実施した研究内容は当初の予定通りに前年度のvitroの結果を踏まえて、vivo実験としてPBC モデルマウス(NOD.c3c4)を用いて検証した。このモデルマウスは 8 週齢で自発的に胆管周囲 のリンパ球浸潤と胆管上皮障害が出 現し PBC と類似する特徴を持つ。NOD.c3c4 マウスの尾静脈に miR-139-5p(lipofection 法)を投与した。これは肝臓内で低発現させる inhibitor を使用した(10 匹)。始めの投与から 24h、48h、72h 後に同様の手技を繰り返し合計 3 回の microRNA injectionを行った。miRNA 投与量はプロコールに従い(7mg/kg/匹)、また投与の際に各ポイントで血液を採取することでmiR-139-5pの生体内での直接的な作用を検討した。血液検査上は肝胆道系酵素が有意な差はないものの投与群では改善傾向にあった。また肝組織を検証したところ今回は明らかな胆管炎の改善や変化は認めなかった。しかしマウス生体内の血清内炎症性サイトカインを測定したところ有意な差を持って低下していた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の実験計画はこれまで特定したmicroRNAと特定したその標的因子のc-FOSに着目しており、初年度研究実施計画予定の培養細胞を用いた実験は予定通りに検証することが出来た。今年度の生体内での動態を検証する実験もPBCモデルマウスを用いて予定通りに検証することが出来た。胆道系酵素の改善や炎症性サイトカインの低下など今のところ胆管炎を制御しうる可能性を持つ結果が出ている。今後も試薬濃度などの調節によりより進んだ検証が可能である。 従って今年度の研究進捗状況としてはほぼ計画通りに進展していると判断出来る。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度も研究計画通りに進捗しており、このまま検証を継続していく。また計画内容には記載していないがmicroRNA inhibitor濃度の変更や、試薬投与期間の変更 などを追加しより影響が出るであろう濃度、期間を定めていく必要がある。今年度は生体内での検証であるため、今後の創薬応用を念頭に副作用などの観点からも検証を進めていく。
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Causes of Carryover |
今回2年計画で行いこれまで予定通りに検証していたが、検証機器の不具合があり追加検証が必要となったため1年延長申請を行い許可されている。従って最終年度に行う検証実験に用いるため。
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