2017 Fiscal Year Research-status Report
Helicobacter pylori CagA-induced dephosphorylation of E-cadherin and its involvement in carcinogenesis
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17K15926
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
藤井 裕美子 東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 特任助教 (30722334)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | ヘリコバクター・ピロリ |
Outline of Annual Research Achievements |
Srcファミリーキナーゼ阻害剤を用いた解析から、本研究で対象としている新規E-cadherinチロシンリン酸化はSrcファミリーキナーゼ非依存的であることが示された。この部位においてリン酸化モチーフ解析を行ったところリン酸化キナーゼの候補としてEGFRが予想されたため、EGF刺激前後のE-cadherinチロシンリン酸化状態を解析したところ、EGF刺激によりE-cadherinのチロシンリン酸化量の増加が観察された。E-cadherinはアドヘレンスジャンクションの主要な構成分子であることから、E-cadherinチロシン脱リン酸化が細胞生物学的にどのような意義を持つかを明らかにする目的で、同定したチロシンをフェニルアラニンに置換したE-cadherin YF変異体を用いて隣接細胞との接着強度の変化をdispase細胞接着アッセイならびにtransepithelial electorical resistance (TER) で評価したところ、E-cadherinの脱リン酸化に伴い隣接細胞との接着強度が低下することが明らかになった。E-cadherinチロシンリン酸化依存的に結合するタンパク質を明らかにする目的で、野生型とYF変異型のE-cadherin結合タンパク質を免疫沈降実験で比較したところ、野生型特異的に結合するタンパク質が観察された。LC/MS/MS解析によりこのタンパク質の同定を試みたところ、候補の一つとしてSH2ドメインを持つタンパク質が検出された。現段階までに、特異的抗体を用いた免疫沈降実験により、このタンパク質がE-cadherinに確かに結合することを明らかにしており、今後この結合タンパク質の働きを観察することによりE-cadherin脱リン酸化が細胞へ及ぼす効果の分子機構を明らかにすることができると期待している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
交付申請時に設定した平成29年度の研究計画2項目のうち、1項目についてはほぼ計画通りに成果が得られているが、残りの1項目については現時点で未着手である。しかしながら、平成30年度の研究計画の項目に先に着手して新たな知見を得ており、総合的に判断すると、本研究課題の最終目的達成に向けておおむね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
CagAによるE-cadherin脱リン酸化機構について、現在までに未着手であった実験を申請した研究計画の通りに進めることで、その分子機構解明を目指す。また、E-cadherin脱リン酸化の病態生理学的意義を明らかにすることを目指し、今回新たに同定したE-cadherin結合タンパク質の働きに着目して解析を進める。
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