2017 Fiscal Year Research-status Report
Elucidation of the pathogenic mechanism of intestinal metaplasia and gastric carcinoma
Project/Area Number |
17K15928
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
新倉 量太 東京大学, 医学部附属病院, 特任臨床医 (90625609)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | Helicobacter pylori / gastric metaplasia / gastric cancer |
Outline of Annual Research Achievements |
ヘリコバクターピロリ菌の除菌療法が成功した患者285人のデータを詳細に解析した。組織学的解析を行い、腸上皮化成は胃前庭部、胃体部の両方において除菌後も統計学的に改善しないことを明らかにした。一方、萎縮は胃体部で、好中球浸潤は胃前庭部、胃体部、単球浸潤は胃前庭部、胃体部において除菌後に改善することも明らかにした。 腸上皮化成について、解析集団285人の個々の組織データをさらに詳細に検討を行うと、約7割の患者では腸上皮化成に変化はみられなかったが、2割の患者で腸上皮化成が改善、1割の患者で増悪していることも明らかになった。免疫組織化学検討を行うと、CDX2の発現の減少が腸上皮化成の改善、CDX2の発現の増加が腸上皮化成の増悪と関連している可能性が明らかになった。 その他、胃癌の抑制効果の可能性が報告されているアスピリン、非ステロイド消炎鎮痛薬と腸上皮化成、胃癌の関連について、別の患者コホートを用いた解析を行い、アスピリン、非ステロイド消炎鎮痛薬は腸上皮化成や胃癌のリスクの増加と関連しないことを明らかにした[Cancer Prev Res (Phila). 2018 Feb 16. doi: 10.1158/1940-6207]。さらに、最近胃癌のリスクの増加との関連の可能性が報告されているプロトンポンプ阻害薬について、腸上皮化成が進行している患者において、プロトンポンプ阻害薬の使用はヘリコバクターピロリ菌除菌後胃癌の発生を有意に増加させる可能性があることを明らかにした[Gut. 2017 Dec 22. pii: gutjnl-2017-315710. doi: 10.1136/gutjnl-2017-315710]。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ピロリ菌除菌後の腸上皮化成や関連する因子の変化に関する、組織学的な検討がすでに完了している。免疫組織化学に関する検討もおおむね順調に進展している。また、腸上皮化成と発癌に関して、リスク薬剤との関連を疫学研究から明らかにし、論文報告を行っているため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も腸上皮化成のnatural historyに関連する免疫組織化学に関する検討を継続していく。さらに、腸上皮化成に顕著な変化を認めた症例、その後除菌後胃癌の発癌に至った症例に関して胃粘膜の遺伝子解析も行う予定である。遺伝子解析は、ヒトのエクソンシークエンスを予定しているが、これまでの結果から、胃粘膜内の細菌側の遺伝子が疾患と関連することが考えられる場合は、胃内細菌の遺伝子解析も行うことを予定している。
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Causes of Carryover |
当初計画していた免疫組織化学の消耗品に関連する経費の支出が少なかったため。
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Research Products
(2 results)