2017 Fiscal Year Research-status Report
The development of novel therapy for NASH-related hepatocellular carcinoma using RXR-alpha genetically modified mice
Project/Area Number |
17K15937
|
Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
境 浩康 岐阜大学, 医学部附属病院, 助教 (40738259)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | レチノイド核内受容体 / RXRα受容体 / 非アルコール性脂肪肝炎 / NASH / 肝発癌 / メタボリック症候群 / マウスモデル |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、NASH肝発癌におけるレチノイド核内受容体RXRαの関与を明らかにすることで新規NASH肝癌治療薬を開発することを最終目標としている。始めに、RXRα遺伝子改変マウスと対象マウスに高脂肪食を投与することによって肝脂肪化に及ぼす影響について検討を行った。具体的には4週齢より高脂肪食を3週間投与し、7週齢における体重、肝酵素(ALT)、肝脂肪化(脂肪肝の有無)について検討を行った。RXRα遺伝子改変マウス群と対照群では体重に有意な差を認めなかった。しかし、肝酵素(ALT)は遺伝子改変マウス群において有意に上昇しており、また、肝脂肪化についても対照群と比較して明らかな脂肪沈着(脂肪肝)の所見を認めた。さらに、遺伝子改変マウス群と対象群に糖負荷試験を行い耐糖能異常の有無について検討を行ったところ、遺伝子改変マウス群は対照群と比較して糖負荷後の高血糖が遷延していた。以上の結果から、RXRα遺伝子改変マウスは脂肪肝や耐糖能異常を示し、メタボリック症候群のモデルマウス、ひいては非アルコール性脂肪肝疾患のモデルマウスと成り得ることが明らかになった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究では、様々な病態に由来したNASHモデルを用いた肝発癌研究を通して、各病態に普遍的な新規biomarkerを同定することを目標の1つに掲げている。これまでに高脂肪食(インスリン抵抗性・慢性炎症・腸内細菌叢の変化を反映したモデル)に由来した脂肪肝モデルの確立には成功したが、他に、自然経過観察モデル(リン酸化型RXRα強制発現のみを反映したモデル)、コリン欠乏食モデル(エピジェネティックな修飾変化を反映したモデル)、ストレプトゾトシンモデル(1型糖尿病の病態を反映したモデル)の確立を予定している。実験個体はRXRα遺伝子改変マウス(リン酸化型RXRαアレルがヘテロの個体)の交配によって得られた仔マウスのジェノタイピングによって得られることから、個体数に制限がある。このため当初予定よりも実験遂行に時間を要している。
|
Strategy for Future Research Activity |
まず先に述べた各種病態に由来した脂肪肝・脂肪肝炎モデルを作成する。次に各モデルから得られたマウス検体を用いた網羅的解析を通して、様々な病態に共通した普遍的な新規biomarkerの同定を行う。最終的には新規biomarkerの発現状況をヒト臨床サンプルやデータベース情報と照らし合わせることでヒトへ応用可能かどうか検討を行う。
|
Causes of Carryover |
理由:今年度は、当初予定していた数のNASHモデルの作製に至っていない。次年度は残りのNASHモデルの作製に費用が増加することが予想される。そのため、次年度への繰り越しが生じた。 使用計画:主な支出は実験動物の管理と試薬の購入が考えられる。その他、研究成果発表のため、国内外での学会参加旅費に充てられる。
|