2018 Fiscal Year Annual Research Report
Analysis of base excision repair abnormality in chronic inflammation-mediated hepatocarcinogenesis
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17K15938
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
恵荘 裕嗣 京都大学, 医学研究科, 医員 (60760585)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 肝細胞癌 / DNA修復 / microRNA |
Outline of Annual Research Achievements |
肝細胞癌は慢性肝炎および肝硬変を背景として発生することが知られているが、炎症からの肝発癌の分子機構については未だ十分明らかではない。本研究では、ヒト肝細胞癌で高頻度に認められる遺伝子変異パターンから、DNA修復のうち塩基除去修復の異常が肝発癌に関与している可能性に着目し、炎症により肝細胞に惹起されるUracil-DNA glycosylase(UNG)の発現制御異常が肝細胞癌発生に果たす役割を明らかにすることを目的とした。 まず肝培養細胞に対して炎症性サイトカイン刺激を行い、経時的に細胞を採取してRNAを抽出し、各時相における、各種error-prone DNA polymerase関連遺伝子の発現変化の有無をqPCRを用いて解析した。その結果、主要なDNA修復機構のひとつである塩基除去修復システムにおいて重要な役割をもつUNGの発現が、炎症性サイトカイン刺激により低下することがわかった。次に、肝炎ウイルス感染に起因する、肝細胞癌症例の外科的切除標本の非腫瘍部(慢性肝炎もしくは肝硬変組織)、および肝移植ドナーの正常肝組織を用いて実験を行った。各肝組織サンプルからRNAを抽出し、同様に、各種error-prone DNA polymerase関連遺伝子の発現変化の有無をqPCRを用いて解析したところ、やはりUNGの遺伝子発現レベルが、慢性肝炎および肝硬変組織において、正常肝組織と比較して有意に低下していることが明らかとなった。次に、microRNAデータベースを用いたin silico解析により、UNG mRNAの発現制御に関与している可能性のあるmicroRNAを検索したところ、miR-18a、miR-18b、miR-4735-3pの3種が候補に挙がり、そのうちmiR-18a発現が慢性肝炎および肝硬変組織において上昇しており、肝発癌過程に寄与している可能性が確認された。
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Research Products
(15 results)