2017 Fiscal Year Research-status Report
臨床検体を用いたB型肝炎ウイルス(HBV)感染の病態解析
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17K15941
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
中堀 輔 大阪大学, 医学部附属病院, 医員 (60795160)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | B型肝炎ウイルス / RNA-Seq / ウイルス複製制御機構 |
Outline of Annual Research Achievements |
B型肝炎肝細胞癌切除検体非癌部(未治療5例、核酸アナログ治療3例)および肝生検余剰検体(未治療24例、核酸アナログ治療5例)をHBsAgに対する抗体を用い免疫染色を施行した。37例中34例でHBsAg陽性細胞とHBsAg陰性細胞は混在した。未治療のB型肝炎患者肝組織ではHBsAg陽性細胞比率は血清HBV DNA値(r=0.59, p<0.05)およびHBsAg値(r=0.45, p<0.05)と有意な相関関係を認めた。核酸アナログ治療例では未治療例と比較し、HBsAg陽性細胞比率は有意に低かった。 B型肝炎肝細胞癌切除検体非癌部(n=3)のHBsAg陽性細胞およびHBsAg陰性細胞をLaser Microdissection法を用い採取し、それぞれよりRNAおよびDNAを抽出した。本研究ではパラフィン固定ホルマリン包埋ブロックを用いるため、抽出したRNAの量をQubitで、品質をバイオアナライザーを用いDV200値にて評価した。RNAの量はHBsAg陽性および陰性の領域面積により異なるが、110ngから450ng程度抽出可能であった。RNAの品質はいずれの検体もDV200値は30以上であり、次世代シーケンサーを用いた網羅的な遺伝子発現解析(RNA-Seq)が可能であった。 RT-PCR法にてpregenomeRNA(pgRNA)およびcccDNAを解析した。HBsAg陽性細胞ではHBsAg陰性細胞と比較し、pgRNA およびcccDNAは有意に高かった。RNA-Seq解析を行い、paired t検定にてcut off値を0.01未満に設定すると、2倍以上の発現変化を認めた遺伝子は21個選択された。このうち7遺伝子はHBsAg陽性細胞において発現が上昇しており、14遺伝子はHBsAg陽性細胞において発現が低下した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
FFPE検体よりRNAを抽出し、RT-PCR法によるpgRNA発現解析およびRNA-Seqによる網羅的な宿主遺伝子発現解析が可能であった。ウイルス複製に関与している可能性がある宿主因子候補を選定することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度選定した遺伝子について、NTCP強制発現細胞株やヒト肝細胞キメラマウス由来の初代培養ヒト肝細胞株を用い、HBV感染との因果関係や自然免疫系の誘導、代謝サイクルの変化について解析を行う。またウイルス複製に関与していることが確証できた遺伝子については、発現を介入することにより、感染効率の変化を解析する。
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