2017 Fiscal Year Research-status Report
大腸癌微小環境におけるエクソソームを介したクロストーク
Project/Area Number |
17K15944
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
吉井 俊輔 大阪大学, 医学部附属病院, 医員 (90771882)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 癌関連線維芽細胞 / エクソソーム |
Outline of Annual Research Achievements |
多くの固形癌は微小環境において他の細胞と相互に作用しながら増殖していく。癌間質の線維芽細胞は癌関連線維芽細胞と呼ばれ、癌微小環境の中で腫瘍増大に中心的な役割を果たしているが、その成り立ちは未だ十分に解明されているとは言えない。本研究は癌細胞-線維芽細胞間のクロストークにおいて、癌細胞より分泌されるエクソソームが線維芽細胞活性化を介した腫瘍増大において果たす役割について解明することを目的としている。これまでにp53野生型大腸癌細胞の機能欠損により線維芽細胞共在下の腫瘍増大が促進すること、また、その腫瘍増大にエクソソームの変化が関わることを明らかにした。さらに、エクソソーム中のマイクロRNAに着目し、p53野生型大腸癌細胞由来エクソソームとp53機能欠損大腸癌細胞由来エクソソームにおけるマイクロRNAの発現変動を明らかにするためマイクロアレイ解析を行った。その結果、癌細胞のp53機能欠損によりエクソソーム中のマイクロRNA profileが変化し、発現量の上昇したマイクロRNAによって線維芽細胞のp53遺伝子発現が抑制されること、さらにp53遺伝子発現を抑制された線維芽細胞は癌細胞の増殖を促進することをin vitroにおいて明らかにしている。また、それらのマイクロRNAの特異的阻害剤にて線維芽細胞のp53遺伝子発現が回復する結果も得られている。これらの結果についてはすでに学会発表を行った。現在、癌細胞由来エクソソームが線維芽細胞を活性化するさらなる詳細な分子学的な機序について検討をすすめており、新たな治療標的としての可能性を検討していく予定としている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
すでに線維芽細胞活性化機序の中で、p53抑制に着目し、癌細胞由来エクソソーム中のマイクロRNAにおいてマイクロアレイ解析を行い、線維芽細胞のp53抑制に関わるマイクロRNAを同定し、同定したマイクロRNAにより線維芽細胞のp53遺伝子が抑制されることを見出した。p53遺伝子が抑制された線維芽細胞が癌細胞の増殖を促進し、腫瘍増大に関わる結果も得られており、大腸癌患者血清を用いた解析も進めている。概ね当初の計画通り研究は進捗していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
今回の研究で得られた成果はすでに学会で発表しているが、さらに随時国内および国際学会にて発表予定である。またpeer-reviewされる英文学術誌に投稿し、研究成果を発信する準備をすすめている。現在、新たな治療標的としての可能性を模索するため、さらなる詳細な分子学的な機序について検討をすすめている。
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Research Products
(1 results)