2018 Fiscal Year Research-status Report
circulating tumor DNAを用いた肝癌の治療耐性獲得機序の解明
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17K15948
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
大野 敦司 広島大学, 医歯薬保健学研究科(医), 助教 (80774645)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | バイオマーカー / 肝細胞癌 |
Outline of Annual Research Achievements |
当該年度中に切除不能の進行肝細胞癌に対してレンバチニブの使用が可能となった。そのため、当該年度は当院で2018年4月から11月にレンバチニブを導入した症例を対象に、腫瘍循環DNAの解析と並行し、治療開始前の年齢、性別、血算、生化学検査等の臨床背景、療開始前および開始後2週間目のAFPとともに、治療開始前の血管新生や増殖因子に関わる22の血清サイトカインおよび血管新生因子(CAFs; cytokines and angiogenic factors)をマルチプレックスルミネックスアッセイにより測定し、治療効果との関連を解析した。治療効果判定は、治療開始4週と以降毎月毎にmRECISTにて判定を行った。ルミネックスアッセイにはHuman Luminex Assay kit (R&D systems, Minneapolis, USA)を用いた。測定項目は、レンバチニブの治療標的であるVEFGR, FGFR, PDGF, KIT, RETの経路に関連するCAFsを選択した。内服開始から4週間の間に76%の症例が減量または中止が必要であったことから、Relative Dose Intensity (RDI)の低下による腫瘍の増悪と、生物学的に奏功しないことによる増悪は区別する必要があると考えられた。研究者らはまず、2週間毎のRDIを算出した結果、3-4週目にかけてRDIが大きく低下することが明らかとなった。また、3-4週目のRDIが70%未満の症例は70%以上の症例と比較し、有意に無増悪生存期間が短いことが明らかとなった。治療開始前のサイトカインと、3-4週目のRDIを比較したところ、3-4週目にRDIが70%未満に低下する症例に特徴的な血清サイトカインのパターンが同定された。生物学的な腫瘍の奏功性に関連するサイトカイン及び腫瘍循環DNAについては現在解析中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
サイトカインの解析は当初の予定には含まれていなかったが、実際にレンバチニブを投与された症例の経過を詳細に解析した結果、RDIの低下による腫瘍の増悪と、生物学的に奏功しないことによる増悪は区別する必要があると考えられた。そこで研究者らは、腫瘍の遺伝子異常を腫瘍循環DNAで解析することと並行して、血中のサイトカインを解析することとした。 当該年度に同定された血中サイトカインのパターンにより、RDIが低下する可能性が高い症例を治療開始前に予測できれば、予定休薬や予定減量等の投与方法の工夫により、治療成績を向上させ得る可能性があり、本研究の目的である、進行肝癌に対する薬物療法のマネジメントに有用なバイオマーカーの開発に沿うものと考える。 また、生物学的な奏功に関連するサイトカインおよび循環DNAの解析も進行中であり、順調に進展しているものと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題では、引き続き、腫瘍循環DNAの解析、血中サイトカインの解析を継続する。RDIの低下による影響をできる限り除外し、生物学的な奏功性に関連するバイオマーカーを同定するため、一定のRDIが保たれている症例において複数のタイムポイントでの上記マーカーの推移を解析することにより、より効率的に有用なバイオマーカーの同定を目指す。
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Causes of Carryover |
当該年度に予定していた学会発表を延期したため。次年度使用額は次年度の学会旅費、試薬の消耗品代として使用する予定である。
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