2018 Fiscal Year Research-status Report
肝星細胞のエネルギー代謝に着目した肝線維抑制法の開発
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17K15949
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
岩本 拓也 山口大学, 大学院医学系研究科, 助教 (80634716)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 肝星細胞 / 線維化 / 間葉系幹細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
肝星細胞の活性化について詳細に解析するために、スフェロイド培養を行った。遺伝子発現をSAGE解析とIPA解析を用いてそれぞれ解析したところ、mitochondria dysfunction, hypo signalなどの、いくつかの興味深いパスウェイの変化が認められた。今後、遺伝子発現解析、ウェスタンブロッティング、メタボローム解析などでさらに詳細を調べていく予定である。次に、肝星細胞の評価に使うことができるAKアイソザイムプロモーターにGFP標識をつけたコンストラクトを、マウスRosa26に導入することを試みたが、作製に至っていない。今後いくつかの改善策を行い継続していく予定である。さらに、アデニル酸キナーゼアイソザイムがどのようなタンパクと結合するかを調べるため、プルダウンアッセイを行ったが、現在のところ結合タンパクは得られていない。プルダウンの条件を今後検討していく予定である。プルダウンアッセイで結合するタンパクを同定できれば、エネルギー代謝のメカニズムの解明に役立つと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
肝星細胞の活性化について詳細に解析するために、spheroid培養を行った。培養後1日目の細胞を用いて、遺伝子発現をSAGE解析とIPA解析した。Canonical pathwayとしてSirtuin, EIF2 signaling, mitochondria dysfunction, hypo signal, Epithelial adherences junction signalingなどでパスウェイの変化が認められた。更に得られたCanonical pathwayをMGで-log(p-value)が高いpathwayのTOP15と比較したところ、Oxidative phosphorylationを除いたすべてのpathwayがMGと浮遊培養で有意な変化が認められた。さらに、AKアイソザイムプロモーターにGFP標識をつけたコンストラクトを、マウスRosa26に導入することを試みた。現在数百個程度の受精卵に遺伝子導入し、評価を行っているところである。今のところ星細胞活性化評価用AKアイソザイムプロモーターを持つトランスジェニックマウスの作製はまだうまくいっていないが、今後継続していく。アデニル酸キナーゼアイソザイムがどのようなタンパクと結合するかを調べるためプルダウンアッセイを行ったが、現在のところ結合するタンパクは同定されていない。
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Strategy for Future Research Activity |
Spheroid培養を行った際に起こる変化の解析を継続して行う。特にアデニル酸キナーゼを含めたエネルギー代謝の変化について、遺伝子発現解析、ウェスタンブロッティング、メタボローム解析などを用いて調査する。肝星細胞活性化評価用AKアイソザイムプロモータートランスジェニックマウス作製を継続して行う。トランスジェニックマウスが得られれば、肝星細胞の評価に使用することができるか評価する。四塩化炭素投与により、慢性肝障害を与えたマウスの肝臓を単離して、蛍光を調べる。さらに、アデニル酸キナーゼアイソザイムが、どのようなタンパクと結合するのか調べるため、プルダウンアッセイを行う。プルダウンにはproteinAに抗体をつけ、さらにクロスリンクしたものに肝星細胞のタンパク粗抽出液を投与し、複合体を単離する。プルダウンアッセイで結合するタンパクを同定できれば、エネルギー代謝のメカニズムの解明に役立つと考えられる。
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Causes of Carryover |
肝星細胞活性化評価用AKアイソザイムプロモーターを持つ、トランスジェニックマウスの作製が完成しておらず、研究の進捗がやや遅れているために次年度使用額が生じた。トランスジェニックマウス得られれば肝星細胞の評価に使うことができるか評価していく予定である。これと並行して四塩化炭素投与により、慢性肝障害を与えたマウスより肝臓を単離して蛍光を調べていく。さらにアデニル酸キナーゼアイソザイムがどのようなタンパクと結合するかを調べるためプルダウンアッセイを行う予定である。代謝の解析では、フラックスアナライザーを使用するが、専用プレートや代謝測定キットがさらに必要になってくる。またin vivo 動物実験では、肝機能・線維化の改善効果を組織染色、細胞周期、免疫染色により解析する。主にメタボローム解析と消耗品に予算を使用する。またトランスジェニックマウス作製のため、動物購入費を計上している。
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