2019 Fiscal Year Annual Research Report
The role of secretory immunoglobulin in development of NAFLD and NASH
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17K15953
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
稲嶺 達夫 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(薬学系), 准教授 (00549628)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | IgA / NASH / NAFLD |
Outline of Annual Research Achievements |
非アルコール性脂肪性肝疾患および脂肪肝炎(NAFLD/NASH)における腸管の分泌型イムノグロブリン(SIg)の役割を解明するため,2019年度は,SIgを分泌できないpIgR欠損マウスに,NAFLD/NASHモデルとして高脂肪+高フルクトース食(FFD)を20週間与えた。今回,IgA分泌能が異なるC57BL/6N(B6)系とBALB/c(Bc)系のpIgR欠損マウスを用いた。 B6およびBc系のpIgR欠損マウスは,それぞれの野生型マウスに対して,ぶどう糖負荷試験での耐糖能の低下傾向が認められた。驚いたことに,Bc系pIgR欠損マウスでは,FFD時の体重,肝重量,肝重量体重比が野生型マウスに対して有意に低い一方で,B6系pIgR欠損マウスでは高い傾向を示した。この結果から,NAFLD/NASH モデルにおけるpIgR欠損の影響が両系統で一部異なることが示唆された。 今回,FFD群に供したマウスは各6-8匹であり,群内の個体差を考慮すると検出力が十分ではない可能性がある。そのため,現在も個体数を拡大し,継続して給餌中である。今後,十分な数に達した後に,肝臓における脂肪蓄積の評価,炎症性遺伝子発現の変化などを明らかにし,NAFLD/NASHモデルにおけるpIgR欠損の影響と,その詳細な機序の解析を行う予定である。また,動物実験終了後,マウスで見られる腸管SIg量の変動がヒトのNAFLD/NASH患者でも見られるかを明らかにし,ヒトNAFLD/NASHにおけるSIgの役割解明に繋げる予定である。 上記に加えて現在までに,マウスの供給施設間や系統間で糞中SIg量が異なること,B6系マウスでのみFFD群で糞中SIg量が低下することを明らかした。今後のSIgの研究において,ヒトと類似するSIg変動を示す系統のマウスを利用することで,ヒトの病態をより反映した結果が得られるかもしれない。
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Research Products
(1 results)