2017 Fiscal Year Research-status Report
NASHにおける鉄酸化ストレスの誘導機序の解明と治療への応用
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17K15955
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
田中 信悟 札幌医科大学, 医学部, 助教 (60561024)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | NASH / 鉄 / 酸化ストレス / IRP1 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は肝鉄過剰沈着を伴うNASH における IRP1 活性化誘発因子の解明を含めた鉄代謝異常の詳細な機序を明らかとし,それらを焦点とした新たなバイオマーカーと治療方法の開発を目的とする.IRP1 活性化の原因となるhumoral factor(s)候補の同定のため液体クロマトグラフ質量分析計を用いたメタボローム解析 ,RNAマイクロアレイ解析,エクソソーム解析,抗体アレイ解析を行う予定であり,各解析法のサンプル処理および機器使用法の確認を行った.In vitro実験としては小腸上皮細胞の形態・機能を有するmonolayersを形成するため,Caco-2/TC7細胞を多孔質フィルター上で培養した.Total RNAを抽出しDMT1 mRNA発現量を測定した.またcytosolic proteinを抽出し,十二指腸DMT1のIRE配列の3’末端を[32P]-UTP標識したプローブを用いて,EMSAによってIRP活性を測定するなど,各種基礎データを得ることができた.In vivo実験の準備として,C57BL/6J野生型マウスを用いて脂肪肝炎モデルを作製した.全群を高カロリー食であるSurwit diet(リサーチダイエット社)で飼育し,鉄過剰群では鉄分450mg/kg diet を添加した.6週齢より組織採取までの間,前述の飼料を継続投与した.体重測定等は適宜行い,通常のC57BL/6J野生型マウスとの比較では明らかな体重増加を認めている.投与開始より3,6,9ヶ月後のマウスを安楽死させ,採血検査にて各種生化学データ(AST,ALT,Fe等)を得ることができた.肝組織を採取し固定標本を作製の後,肝障害,線維化,鉄沈着,8-OHdG抗体を用いた酸化ストレスの程度および発癌について解析した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
In vitro実験においてCaco-2/TC7細胞の多孔質フィルター上での培養および各種解析(qRT-PCR,EMSA)が問題なくできることを確認し,基礎データを得ることができた. In vivo実験の準備として,C57BL/6J野生型マウスを用いて脂肪肝炎モデルを作製することができ,継代も順調にできている.
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Strategy for Future Research Activity |
予備実験や基礎データの収集は順調に行えており,今後は実際のサンプル(血清等)を用いた解析を行っていく. 各種網羅的解析において,自施設データの検証目的に同一サンプルの外部施設での測定についても検討する予定である.
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Causes of Carryover |
計画はほぼ予定通り進行しているが、物品購入が年度をまたいでしまったため次年度使用とさせて頂きます。
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