2018 Fiscal Year Research-status Report
C型肝炎難治例の薬剤耐性変異及びウイルス排除後肝発癌に関連する遺伝要因の解明
Project/Area Number |
17K15960
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
飯尾 悦子 名古屋市立大学, 大学院医学研究科, 助教 (20543797)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | HCV / DAA / SVR後肝発癌 / TLL1 |
Outline of Annual Research Achievements |
1つ目の課題である、ソホスブビル/レディパスビル(SOF/LDV)治療不成功例における耐性変異の検討についての検討。 SOF/LDV治療不成功例におけるDAA再治療については、グレカプレビル/ピブレンタスビル(GLE/PIB)投与症例において、現在実臨床で全国多施設で治療成績データを収集中である。NS5B領域の207T+218S+316N変異株を有する症例のレプリコン解析ではSOF耐性を認めなかったが、NS5A領域のLDV耐性を有する症例でも実臨床ではGLE/PIBの治療効果は良好である。 2つ目の課題である、ウイルス排除後の肝発癌検討について、昨年度から引き続きSVR症例のゲノムを全国多施設から収集中である。 我々はIFNベース治療でSVR後発癌に寄与する因子としてTLL1 (rs8099917)遺伝子多型 を報告したが、IFNフリーDAA治療でSVR24を達成した約1100例においてTLL1遺伝子多型の解析を行った。DAA治療前、ウイルス学的著効(SVR24)時点における臨床データと遺伝的要因を合わせて検討すると、DAA治療終了後1年以降の初発肝癌の検討では、SVR24時点におけるAFP、Fib4、TLL1 AT+TT群がSVR後初発肝癌の有意なリスク因子であった。またTLL1 (rs8099917) AT+TT群ではAA群に比べ優位に累積発癌率が高かった。さらにFib4、AFP、TLL1を組み合わせることで、発癌高リスク群を効率に囲い込みが可能と思われた。この結果については、JDDW2018、AASLD2018での報告を行った。またJ Gastroenterol. 2019 Apr;54(4):339-346.に論文報告した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1つ目の課題である、SOF/LDV治療不成功例における耐性変異の検討について、DAA治療不成功例における実臨床での再治療成績については2019年5月の日本肝臓学会総会で発表を予定している。 また2つ目の課題であるSVR後発癌に寄与する因子の検討についても順調にゲノム収集が進んでいる。TLL1 遺伝子多型について、IFNフリーDAA治療でSVR24を達成した約1100例においてTLL1遺伝子多型の解析を行った。DAA治療終了後1年以降の初発肝癌の検討では、TLL1 (rs8099917) AA群ではAT+TT群に比べ優位に累積発癌率が高く、2018JDDWで報告するとともに、J Gastroenterol. 2019 Apr;54(4):339-346.に論文報告した。
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Strategy for Future Research Activity |
SOF/LDV治療不成功例における耐性変異の検討について。SOF/LDV治療不成功例は実臨床では2017年に使用可能となったグレカプレビル/ピブレンタスビル療法がおこなわれることが多いが、この治療不成功例のウイルス学的検討などを行い、HCV患者の効率的な治療法選択に役立てることを目標とする。 DAA治療症例におけるウイルス排除(SVR)後肝発癌に関わる検討では、IFN治療によるSVR後発癌と同様にTLL1遺伝子多型の関連を認めた。DAA治療後も肝予備能が悪化する症例があり、今後はそれらの遺伝的要因を臨床データと合わせて解析予定で、SVR後に肝発癌や肝予備能低下する恐れのある症例の囲い込みについて検討する予定である。またさらに得られた知見を日本肝臓学会、日本消化器病学会、アメリカ肝臓学会(AASLD)、アジア肝臓学会(APASL)などでの報告を目指している。
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Causes of Carryover |
物品購入費が少額で済んだため。また論文の英文校正にかかる費用が予定より少額であったため、次年度使用額が生じた。他施設からSVR後発癌に関与する因子として報告があったものについても合わせて検討する予定である。
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[Journal Article] TLL1 variant associated with development of hepatocellular carcinoma after eradication of hepatitis C virus by interferon-free therapy.2019
Author(s)
Iio E, Matsuura K, Shimada N, Atsukawa M, Itokawa N, Abe H, Kato K, Takaguchi K, Senoh T, Eguchi Y, Nomura H, Yoshizawa K, Kang JH, Matsui T, Hirashima N, Kusakabe A, Miyaki T, Fujiwara K, Matsunami K, Tsutsumi S, Iwakiri K, Tanaka Y.
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Journal Title
J Gastroenterol.
Volume: 54
Pages: 339-346
DOI
Peer Reviewed
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[Presentation] Association of TLL1 variant with development of hepatocellular carcinoma and fibrosis after eradication of hepatitis C virus2018
Author(s)
Etsuko Iio, Kentaro Matsuura, Noritomo Shimada, Masanori Atsukawa, Koichi Takaguchi, Yuichiro Eguchi, Hideyuki Nomura, Noboru Hirashima, Atsunori Kusakabe, Tomokatsu Miyaki, Shunsuke Nojiri, Kayoko Matsunami, Kei Fujiwara, and Yasuhito Tanaka
Organizer
AASLD2018
Int'l Joint Research