2018 Fiscal Year Research-status Report
腸内細菌叢解析による骨粗鬆症のメカニズム解明と新治療開発の試み
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17K15962
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
灘谷 祐二 大阪市立大学, 大学院医学研究科, 講師 (00634007)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 骨粗鬆症 / 腸内細菌 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は既報で広く用いられている卵巣摘出による骨量減少モデル動物(OVX マウス)を用いて腸内細菌の変化を明らかとした。既報通りマイクロCTを用いて大腿骨の骨密度を計測したところ、OVXマウスはコントロールマウスに比べて、骨密度の低下が認められた。同OVXマウスとコントロールマウスで腸内細菌叢を比較したところ、小腸細菌叢の違いは軽微であったが、大腸細菌叢の違いはαDiversityおよびβDiversityの双方で有意であった。 Phylumレベルの検討では、小腸大腸共にFirmicutesが再優性の菌種であり、Bacteroidetesが2番目に優性な細菌種であった。大腸細菌叢ではOVXマウスではコントロールマウスと比較しActinobacteriaの上昇をみとめた。小腸細菌叢の変化は有意差にとどかなかった。Genusレベルの検討では、小腸、大腸ともに有意差をもって変化している菌種が複数存在し、骨塩量に影響している細菌叢の候補があきらかとなった。 現在、この細菌叢が骨塩量に影響をあたえているのか、OVXによる結果であるのかを確かめるために、小腸便、大腸便それぞれを抗生剤処理後のマウスに移植するいわゆる便移植の実験を遂行中である。同時に、本研究において腸内細菌がどのように骨塩量に影響を与えているかを明らかにするために、血清を用いた骨塩量マーカの計測や骨、および腸管に対する免疫組織学的検討も施行中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
基礎研究で、マウスを用いた骨粗鬆症と腸内細菌の関連をあきらかにする検討が進んでおり、結果の一部が出ている状態であるため。
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Strategy for Future Research Activity |
基礎研究マウスOVXモデルマウスでの結果を遂行するとともに他の骨粗鬆症モデルマウスを用いて同様の結果が得られるかを検討する予定としている。また、腸内細菌のどの部分が骨塩量に影響を与えているかを明らかとする方針である。
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Causes of Carryover |
基礎実験をおこなっており、経費のかかる実験が次年度に繰り越しになったため。
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