2017 Fiscal Year Research-status Report
B型肝炎スクリーニング再構築に向けたmicroRNAによる発癌予測手法の確立
Project/Area Number |
17K15964
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Research Institution | Iwate Medical University |
Principal Investigator |
吉田 雄一 岩手医科大学, 医学部, 助教 (70727685)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | B型肝炎関連肝癌 / miRNA / non-coding RNA |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、肝癌発生前の患者血清中のエクソソームに含まれるmiRNAやB型肝炎ウイルス(HBV)遺伝子のintegrationを起源とするnon-coding RNAを検出し、B型肝炎関連肝癌の新規出現に前駆的な発現異常を見出し、将来のB型肝炎関連肝発癌予測マーカーの確立を目的としている。平成29~31年間の研究を予定しており、一年目はintegrationを起源とするnon-coding RNAを中心に、二年目はmiRNAを中心に研究を行う予定である。平成29年度までは、B型肝炎遺伝子のHBx領域と宿主トランスポゾン遺伝子Long interspersed nuclear element-1 (LINE1)との特異的キメラnon-coding RNAであるHBx-LINE1遺伝子の発現について研究を行った。新規に開発したHBx-LINE1の特異的な測定系を用いることで、HBx-LINE1遺伝子を組み込んだ細胞上清中においてHBx-LINE1が検出されることが確認されている。この測定系を用いてB型肝炎関連肝癌患者の保存血清中のHBx-LINE1の検出を試みた。肝癌患者に対する肝癌治療前の時点と肝癌細胞が破壊される肝動脈化学塞栓術後の時点の血清を検体として測定したが、両群ともにHBx-LINE1は検出されなかった。測定条件を調整したものの有意なHBx-LINE1検出には至らず、HBx-LINE1発現肝癌細胞の発生頻度が少ない、または発現していても血清中で検出可能な濃度までには増加しないことが推定された。肝癌発生を予知する血清マーカーは、肝癌が画像検査で検出される前後に血清中に高率かつ容易に検出されることが求められ、現時点ではHBx-LINE1の肝発癌予測マーカーとしての実用化は難しいとの結論に達した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成29年度に予定していたB型肝炎特異的キメラnon-coding RNAの測定実験は終了し、上述のごとく結論付けることができた。また予定しているmiRNA panelを用いたB型肝炎関連肝癌患者のseries血清でのmiRNAの測定については、測定対象者の選定をほぼ終えている。平成30年度の費用が支出可能になり次第、miRNAの測定に移行可能である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度はB型肝炎関連肝癌患者のseries血清でのmiRNAの測定を行い、肝癌が画像検査で認識できる前後に変動するmiRNAを測定する予定である。また臨床データの蓄積を進めて、肝硬変、HBe抗原、HBV DNA量、AFP上昇の有無等を含め各miRNAの臨床背景毎の変動についても検討を進める予定である。
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Causes of Carryover |
次年度に予定しているmiRNAパネルの実験が予定価額より高額になる可能性があるため
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