2018 Fiscal Year Annual Research Report
Insight into the Molecular Mechanisms of Heart-Gut Axis in the Pathophysiology of Heart Failure
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17K15989
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Research Institution | The Institute for Adult Diseases Asahi Life Foundation |
Principal Investigator |
加茂 雄大 公益財団法人朝日生命成人病研究所, 循環器科, 部長 (10722556)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 心疾患 / 腸上皮バリア / 腸内細菌 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、心不全における心と腸の関連を探究し、腸および腸内細菌叢の機能異常が心不全の病態生理において果たす役割を解明することである。本研究では、以下の2つのテーマに焦点を当てて研究を実施した。 1) 心不全における腸上皮バリア機能の役割の解明 心不全患者では、腸上皮バリアが破綻することにより腸内細菌や細菌由来エンドトキシンが循環血中に移行し、全身の炎症反応が活性化されると考えられている。本研究では、心不全における腸上皮バリア機能障害の分子機序を解明するために、心不全モデルマウスの腸上皮・粘液層を分子レベル・組織レベルで解析し、腸上皮での抗菌物質の発現量が心不全モデルマウスにおいて減少していることを見出した。この結果から、腸上皮での抗菌物質の発現が腸上皮バリア機能の制御を介して心不全の病態に関与している可能性が考えられた。 2) 心不全における腸内細菌叢の役割の解明 腸内細菌叢は極めて多様な代謝物質を産生し、宿主の恒常性維持に重要な役割を果たしている。腸内細菌叢の構成異常が幅広い疾患の病態に密接に関与していることが、最近の研究から明らかになってきている。本研究では、心不全患者の糞便から分離した細菌叢DNAの16SリボソームRNA遺伝子シークエンシングによって腸内細菌叢の構成を解析し、心不全患者で腸内細菌叢の構成異常があることを世界で初めて報告した。さらに、腸内細菌叢の構成異常が心不全の病態に影響を及ぼしている可能性を検証するために、心不全モデルマウスの腸内細菌叢への介入を行い、腸内細菌叢を喪失させると心肥大が軽減して死亡率が低下することを発見した。さらに、マウス糞便の代謝物質解析を行い、心不全モデルマウスでは腸内代謝物質プロファイルが変化することを見出した。これらの結果から、腸内細菌叢が細菌代謝産物を介して心不全の病態に影響を及ぼしている可能性が考えられた。
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Research Products
(3 results)