2018 Fiscal Year Annual Research Report
Chiral amino acids for vascular elasticity
Project/Area Number |
17K16003
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
橋本 展洋 大阪大学, 医学部附属病院, 医員 (50791589)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | 血管石灰化 / アミノ酸 / 腎不全 |
Outline of Annual Research Achievements |
Vascular elasticity の保持は心血管病(CVD)抑制に重要である。Vascular elasticity は、「第二の心臓」とも呼ばれる胸腹部大動脈などの弾性動脈が主に 担っており、血管中膜石灰化はvascular elasticity を失わせる重要な原因であるが、血管中膜石灰化に対する有効な治療法は確立されていない。 我々はアミノ酸L-リジンによりアデニン誘導性腎不全ラットにおける血管中膜石灰化病変が抑制される事を見出した。当該実験において、アミノ酸対照として最も単純なアミノ酸であるグリシンと光学異性体D-リジンを用いた検討を行った。その結果、アデニン誘導性腎不全ラットにおいて、グリシンには血管石灰化抑制作用が認められなかったが、D-リジンにはL-リジン以上の血管石灰化抑制作用が認められた。血管中膜石灰化病変の形成にはactive pathwayとして血管中膜平滑筋細胞のアポトーシス、passive pathwayとしてカルシウム・リンの沈着が関与している事が知られている。L-リジンとD-リジンの作用の差異の原因をin vitroの実験系で検討したところ、カルシウム・リン過飽和溶液の沈殿形成抑制作用はL-リジンとD-リジンで同等であったが、D-リジンにはL-リジンに認められない血管中膜平滑筋細胞のアポトーシス抑制作用がある事が判明した。また、D-リジンはアデニン誘導性腎不全ラットの腎障害を軽減させる効果があり、血清クレアチニン値や血清リン値が低下した。しかしながら、D-リジンによる腎機能保護作用は片側尿管結紮モデルや腎虚血再灌流モデルでは認められず、アデニン誘導性腎不全ラット特有の減少である事が示唆された。一方、蛋白質摂取によりリン負荷による腎毒性が解除されることも本研究で見出しており、アミノ酸の適切なコントロールはCVD抑制に貢献し得ると考えられた。
|