2017 Fiscal Year Research-status Report
脳内レニンアイソフォームの発現調整異常は慢性心不全の発症機序に寄与しているか
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17K16012
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
篠原 啓介 九州大学, 大学病院, 医員 (30784491)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 心不全 / 脳 / レニン・アンジオテンシン系 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度の研究実施計画に基づき、心不全ラットの脳内レニンアイソフォーム発現の解析(細胞内レニン vs. 分泌型レニン)を進めている。 【ラットのレニンアイソフォーム解析のためのPCRプライマー作成】 まず、ラットの脳組織を用いてレニンアイソフォームの発現解析のためのPCRプライマー作成を行った。細胞内レニンおよび分泌型レニンのDNA配列の違いはエクソンⅠの短い塩基配列のみであるため、これらの発現解析に適したPCRプライマーの作成は容易ではなかった。結果的に、プライマー作成に想定よりも長く時間を要したが、2つのレニンアイソフォーム発現量を区別して解析できる適切なプライマーを得ることができた。 【心不全モデルラット作成および組織摘出】 PCRプライマー作成を終えた時点で、心不全モデル動物である心筋梗塞ラットならびに対照のsham手術ラットを作成し、術後4週後に心不全の評価を行った。心エコーならびに経頚動脈的カテーテル挿入による心内圧測定により、心筋梗塞後心不全モデルラットは心収縮能の低下、左室拡大、左室拡張末期圧の増加を伴うモデルであることを確認した。これらの心不全ラット、sham手術ラットを安楽死させ、脳や心臓、腎臓を含めた臓器摘出を行い冷凍保存した。脳局所でのレニンアイソフォーム発現解析を行うため、摘出脳からbrain punchによる微小な脳組織を採取する必要があり、現在その準備を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
細胞内レニンと分泌型レニンとのDNA配列の相違は小さく、これらを区別して検知するPCRプライマーの作成に時間を要した。脳局所の微小組織から抽出したRNAを用いてプライマーの検討を行う必要があり、RNA抽出量が少ないことから組織の採取も頻回に行う必要があった。
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Strategy for Future Research Activity |
心不全モデルラットの脳内におけるレニン・アンジオテンシン系(特にレニンアイソフォーム)の遺伝子発現を解析する。その結果をもとに、心不全モデルラットに対してレニン・アンジオテンシン系阻害薬の脳内投与やsiRNAによるレニンアイソフォームの脳特異的阻害を行い、心不全のパラメーターの変化を解析する。
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