2017 Fiscal Year Research-status Report
頸動脈粥状硬化巣におけるリンパ管新生/血管新生アンバランスとPCSK9との関連
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17K16013
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
立石 洋平 長崎大学, 病院(医学系), 助教 (30412167)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 脳梗塞 / 内頚動脈狭窄 / 頸動脈プラーク / PCSK9 |
Outline of Annual Research Achievements |
動脈外膜には豊富なリンパ管網があり、内膜や中膜からの余分な間質液やたんぱく質を排出する役割を持っている。実験的なリンパ鬱滞(lymphostasis)は、動脈硬化の初期段階にみられるような内膜肥厚を引き起こす。また、リンパ管形成不全は、組織のマクロファージからHDLを介したコレステロール逆転送を損なう。さらに、リンパ管は単球系細胞やリンパ球のリンパ節への遊出を担っていることから、リンパ管系システムの障害はプラーク形成や慢性炎症を助長している可能性が指摘されている。実際、病理学的にヒト頸動脈の粥状硬化巣で新生血管は普遍的に認められるが、リンパ管新生は乏しいことはよく知られている。血管新生とリンパ管新生は調節メカニズムに共通の部分を持つにも関わらず、動脈硬化性プラークの進展においてリンパ管新生/血管新生アンバランスが生じることは、その病態にとって重要な要素である可能性が高い。粥状動脈硬化巣における血管新生には、浸潤、増生した血管平滑筋細胞やマクロファージにより過剰発現されたVEGF-A/Cが関与しているとされている。一方、リンパ管新生においては 癌の研究からVEGF-C/D とその受容体である VEGFR-3を中心とした分子機構が中心的な役割を担っていることが判っている。頸動脈プラークの病理学的検討を行うために病理医と連携し、どの部分を重点的に観察し、どのような染色を行うかを検討している。おそらく、炎症が最も強いところよりはその周辺と外膜側だと考えられる。現段階では、現在、これまでの病理検体を使って、頸動脈プラークの性状評価を、特殊染色も用いて検討を行っているところである。現在は染色した検体を観察し評価している段階である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
前向きに頸動脈プラーク検体を集め、解析するためには、具体的な指針が必要である。どのような染色を行い、どの部位を評価するかを明らかにすることが必要である。そのためにまずは以前の検体を用いて評価を行っているところであると考えた。そのため、研究はやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
現在行っている過去の病理検体の検討を行うことで、検討すべきポイントがより明確になる。それを元に前向きに頸動脈プラークを登録していき、評価検討を行っていきたい。
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Causes of Carryover |
概要や進捗で述べられている通り、当初の予定になかった評価の検討や手技の確立に時間を要し、予定していなかった検討が必要になったため次年度使用額が生じた。平成29年度中に検討を終えたため、平成30年度に試薬類の購入予定である。
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