2017 Fiscal Year Research-status Report
出生児低体重モデルにおける心筋再生・病態応答能の検討
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17K16014
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
有馬 勇一郎 熊本大学, 医学部生命科学研究部, 助教 (60706414)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | DOHaD / ケトン体 |
Outline of Annual Research Achievements |
低体重マウスの心臓における表現型を細胞種別に明らかにするため、新生仔期の心臓をサンプリングして超遠心機を用いて細胞核を単離する手法を立ち上げた。心筋細胞において特異的な変化を明らかにするため、心筋細胞特異的に発現するとされる抗PCM1抗体を用いて細胞核を標識し、心筋細胞と非心筋細胞の単離を試みた。細胞単離の結果、生後3日目の時点において正常飼育群では平均値68.8%の心筋細胞分画を認めたのに対して、カロリー制限による低体重マウスでは心筋細胞分画が平均値73.4%と有位に上昇しており(p=0.014)これまでの研究同様、低体重マウスにおいて心筋細胞分画の上昇が確認された。 またマイクロアレイ解析の結果候補因子として抽出したHMGCS2については、CRISPR/Cas9システムを用いて2ラインのKOマウスを作製し、バッククロスを重ねて現在F3世代のマウスを解析中である。KOマウスの表現型は胎性致死ではないが、回収した血中及び組織中のβヒドロキシ酪酸は有意に低下しており、遺伝子破壊に伴いケトン合成が阻害されていることが確認できた。心臓については現在組織染色による心筋細胞の面積比較を行っている他、代謝産物の比較を行うため網羅的なメタボローム解析を実施している。またHMGCS2はミトコンドリア局在蛋白であるため、ミトコンドリアへの影響を評価するため、現在電子顕微鏡による観察を進めている。一方RT-PCRを用いてミトコンドリア関連タンパク質の発現も評価している。 また、今回の研究で用いた立体的な組織評価手法を用いて、発生過程のマウス下肢を三次元的に可視化する手法を作出し、本法を用いた研究結果は2018年のJournal of America Heart Association誌に掲載された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前年度までの組織染色を中心とした表現型の解析から、細胞核の標識によるソーティング手法が確立されたことで、細胞種別の見当が可能となった。また計画していたノックアウトマウスの作成も順調に進み、解析可能な状況となっている。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度の研究により、細胞核の単離法と表現型の確認を行うことができ、KOマウスについても解析可能な頭数で算出することができている。次年度はこれらの手法を用いて表現型の解析を進めるとともに、メカニズムの解明については特にエピゲノム領域の制御に注目した研究を展開する予定である。具体的にはDNAメチル化の解析に注目して、候補因子とされているHMGCS2のパイロシークエンスを行う。また、ヒストン修飾についても、βヒドロキシ酪酸が内因性のHDAC阻害剤である点に注目した実験を計画する。また、HMGCS2のコンディショナルノックアウトマウスの作成にも取り組んでおり、臓器特異的な影響も検討する予定である。
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Causes of Carryover |
今年度使用する予定であった消耗品購入費が次年度に計画変更となったため。
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Research Products
(1 results)