2018 Fiscal Year Annual Research Report
The role of LPCAT2 in ashma
Project/Area Number |
17K16043
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
垂井 愛 東京大学, 保健・健康推進本部, 助教 (40727749)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 気管支喘息 |
Outline of Annual Research Achievements |
強力な平滑筋収縮作用や炎症細胞の遊走作用をもつ生理活性リン脂質の血小板活性化因子(PAF)の生合成酵素であるリゾホスファチジルコリンアシル転移酵素(LPCAT)2は炎症時に活性化される。このLPCAT2の気管支喘息に対する疾患治療標的としての可能性を探ることを目的とした。 ヒト気管支喘息患者の気道平滑筋細胞を用いて、LPCAT2の役割を検討した。培養した細胞にLPACAT2のsiRNAを遺伝子導入し、PAF刺激を行った。気道収縮を引き起こす平滑筋細胞のマーカーであるα-SMAのmRNA発現はPAF投与により上昇するが、siLPCAT2群では上昇が認められなかった。LPCAT2がPAF刺激による気道平滑筋活性化に必要な因子である可能性が示唆された。 気管支喘息誘発モデルを用いて、LPCAT2の気道閉塞性への影響を解析した。LPCAT2遺伝子欠損マウスを用い、卵白アルブミンによる喘息モデルを作成、メサコリン投与による気道過敏性の評価を行った。中枢気道抵抗は野生型、LPCAT2欠損マウスの差は認められなかった。高濃度メサコリン投与下にて、LPCAT2欠損マウスの気道抵抗の上昇が抑制される傾向が認められた。肺胞洗浄液から回収した白血球分画を測定したが野生型、LPCAT2欠損マウス間の有意差はなかった。 LPCAT2抑制により細胞レベルではPAFによる平滑筋細胞活性化の抑制が示されたが、マウスモデルでは気管支喘息抑制効果は明らかではなかった。生体内では複数の経路や気道上皮細胞など他の細胞が病態に関与しているため、統計学的に十分な効果が認められなかった可能性がある。近年開発された抗IgEやIL-5モノクローナル抗体など喘息に対する分子標的治療薬との併用による補助的治療薬としての可能性や、気道のリモデリングといった中長期的なアウトプットへの影響など、更なる検討が必要である。
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