2017 Fiscal Year Annual Research Report
単球標的ナノ粒子製剤を基盤とする肺線維症に対する革新的ナノ医療の研究開発
Project/Area Number |
17K16048
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
船本 大起 九州大学, 循環器病未来医療研究センター, 講師 (10769095)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | 特発性肺線維症 / 炎症性単球 / ドラッグデリバリーシステム / ピタバスタチン封入ナノ粒子 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、現行の医療では最善を尽くしても十分な効果が得られない難治性肺疾患(特発性肺線維症など)に対する革新的標的ナノ医療を開発し、最終的に肺線維症モデル動物を用いて非臨床POC(Proof of Concept)を取得することである。臨床試験で使用可能なGMP(Good Manufacturing Practice)製造の実績を有するピタバスタチンナノ粒子製剤のDDS(Drug Delivery System)を基盤として、医療ニーズの高い特発性肺線維症(Idiopathic Pulmonary Fibrosis、 IPF)に対する革新的標的ナノ医療の研究開発を実施した。本研究により1)ピタバスタチン封入ナノ粒子製剤は、ピルフェニドン添加群と比較し、有意にTHP-1細胞の遊走能を抑制することが示された。2)ピタバスタチン封入ナノ粒子製剤は、ピタバスタチン、ピルフェニドンと比較し、単球細胞由来の炎症性サイトカインを有意に抑制することが示された。3)ピタバスタチン封入ナノ粒子製剤は、ピルフェニドン添加群と比較し、NHLF細胞の細胞増殖を有意に抑制できることが示された。以上のことから、ピタバスタチンナノ粒子製剤は、THP-1細胞およびNHLF細胞を用いた細胞実験において、細胞遊走抑制、抗炎症作用および細胞増殖抑制に優れていることが明らかになった。これらの結果から、ピタバスタチン封入ナノ粒子製剤が、特発性肺線維症の初期段階で生じる炎症細胞の浸潤抑制、浸潤してきた単球マクロファージからの炎症性サイトカインの発現抑制などの効果により肺線維症の発症と進展を抑制することが期待される。
|