2019 Fiscal Year Research-status Report
肺発生時の上皮細胞運命制御とプログラムされた細胞老化におけるPtenの役割
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17K16051
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
三浦 綾子 宮崎大学, 医学部, 研究員 (70710903)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | Pten / 肺発生 / 老化 |
Outline of Annual Research Achievements |
SOPten△/△マウスのE18.5の段階で肺上皮細胞を単離し、DNAマイクロアレイ解析を行った。SOPten△/△マウスの肺上皮では、細気管支前駆細胞、肺胞前駆細胞、神経内分泌細胞、Club細胞、杯細胞、Ⅰ型AECのマーカー遺伝子発現が亢進し、Ⅱ型AECの発現が減少すること、Notchシグナルの発現が亢進し、紡錘体形成に関与するCenpE、Shugoshin、Bub1の発現が減少することを見出した。E18.5マウス肺組織の免疫染色では、DNAマイクロアレイの結果と一致し、SOPten△/△マウス肺で神経内分泌細胞、Club細胞、杯細胞、Ⅰ型AECが増加し、Ⅱ型AECと線毛上皮細胞が減少していた。 哺乳類の正常な胚発生のためには、1.適切な細胞運命決定(Development, 2014)、2.「プログラムされた細胞老化」(Cell, 2013)が重要である。肺発生時の上皮幹細胞・前駆細胞の分化におけるPtenの機能解析の報告はない。一方、「プログラムされた細胞老化」とは、細胞傷害やストレスに非依存性に、制御下に特定領域の細胞老化が生じ、免疫細胞浸潤によって老化細胞が取り除かれ、正常胚発生過程において組織リモデリングが生じるものである。E18.5 SOPten△/△マウスの肺胞領域ではアポトーシス細胞数は対照群と差がない一方、細胞増殖マーカー陽性細胞数は著明に減少していた。これまでの研究実績と予備実験の結果を元に、本研究は、doxycyclineとrtTAの細胞毒性の関与の懸念が不要であるSHHGFPCre/Pten△/△マウスとSHHCreERT2/Pten△/△マウスを用い、肺上皮Ptenの機能を網羅的に解析した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
老化阻害剤による肺発生異常に対するレスキュー効果の検討を行った所、生存率及び上皮間葉転換の改善は見られなかったものの老化マーカーであるp21、p16の発現が減少していた。老化阻害剤の濃度、投与時期の変化で結果に差が生じるため予備実験が必要となった。
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Strategy for Future Research Activity |
老化阻害剤による肺発生異常に対するレスキュー効果の検討を引き続き行う。さらに、PTEN shRNA導入細胞へp53 shRNAまたはp21 shRNAを導入し、p53またはp21のノックダウンによる細胞老化のレスキュー効果をSA-β-GAL染色により評価する。さらに、論文投稿に向けてデータをまとめる。
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Causes of Carryover |
老化除去剤の投与実験に予備実験が必要となり、少しずつ実験を進めたため。
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