2018 Fiscal Year Annual Research Report
Identification of microRNA-mediated molecular pathways in lung cancer with idiopathic pulmonary fibrosis
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17K16052
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
上川路 和人 鹿児島大学, 医歯学総合研究科, 客員研究員 (80633396)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 特発性肺線維症 / 肺癌 |
Outline of Annual Research Achievements |
間質性肺炎の中で、特発性肺線維症は最も頻度の高い疾患である。しかしながら、現在においても、その原因の詳細は不明である。肺胞上皮細胞に生じた様々な障害に対する過剰な修復により、肺の異常な線維化が亢進し、肺のコンプライアンス低下のために拘束性障害が起こるとされている。肺の線維化の課程において、Transforming growth factor betaの刺激により、肺上皮細胞は、上皮間葉転換を誘発し、線維芽細胞や筋線維芽細胞への形質転換する事が知られている。特発性肺線維症の予後は極めて不良であり、診断時からの平均余命は5年とされている。予後不良の原因の一つが、肺癌の合併である。事実、特発性肺線維症は肺癌の合併率が高い事が報告されている。これらの事実は、肺線維症と肺癌には、共通する分子メカニズムが存在する事を示唆している。 ヒトゲノム中には蛋白をコードしないRNA分子が多数存在し、実際に転写されている事が判明した。その中で、僅か19塩基~22塩基の1本鎖RNA分子は、マイクロRNAと呼ばれる。1種類のマイクロRNAは、配列依存的に数百~数千種の機能性RNAの発現を制御している事から、細胞内ではマイクロRNA-機能性RNAの極めて複雑な分子ネットワークが形成されている。マイクロRNAの発現異常は、細胞内の機能性RNA分子ネットワークの破綻を引き起こし、ヒト疾患の発症・進展に関わる。実際、癌を含むヒト疾患において、マイクロRNAの発現異常が相次いで報告されている。 本研究では、特発性肺線維症および肺癌組織において、共通して発現異常を認めるマイクロRNA(miR-29-family)に着目し、その機能解析と、マイクロRNAが制御する分子ネットワークの探索を行った。両疾患に関与するマイクロRNAの起点としたネットワークの解析は、肺癌合併特発性肺線維症の分子メカニズムの解明に繋がると考える。
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