2019 Fiscal Year Research-status Report
気管支喘息患者の気道リモデリングにおけるIL-24の新たな作用に関する研究
Project/Area Number |
17K16056
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Research Institution | Iwate Medical University |
Principal Investigator |
長島 広相 岩手医科大学, 医学部, 講師 (10611014)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | IL-24 / 気管支喘息 |
Outline of Annual Research Achievements |
当初はIL-24が気管支喘息においておいて気道リモデリングの増悪因子として機能していることを前提に検討していたが、IL-24は一般的には抗腫瘍効果、増殖抑制効果を認め、肺癌や悪性黒色腫など様々な腫瘍細胞のアポトーシスを誘導するとされており、IL-24は血管内皮細胞の分化と遊走阻害を通じて、VEGF依存性の血管新生を阻害すると報告もされている。(Annu Rev Immunol 2004、22:929)。現在は抗悪性腫瘍薬としていくつかの研究がすすめられており、有効のとの報告もある。またVEGFは気道リモデリングの原因として報告されているものであり、再度IL-24が気管支喘息において増悪の要因となるのか、もしくは重症な喘息患者であるから IL-24産生を増加させ、血管新生の抑制を促すのかを検討する必要性があると判断した。当教室でJAK阻害剤であるトファシチニブが,アレルギー性血管炎マウスモデルにおいてTh2サイトカインや炎症性サイトカイン,TGF-βの産生を抑制し,肺への好酸球浸潤や肺血管リモデリングを抑制する可能性を検討している.OVAを吸入させた喘息モデルマウスに対して、トファシチニブの投与量を50㎎と75㎎またトファシチニブ投与後3日後、7日後での気管支肺胞洗浄液中のIL-24を測定した。結果としては個体間のバラつきが大きく、有意差を判断することはできなかったが、OVAを吸入したマウス群の方が、OVAを吸入していないマウス群よりIL-24が低い傾向にあった(両群ともトファシチニブ投与されている、トファシチニブ投与量によるIL-24の差の傾向は認めていない)。結果が我々が以前報告した、ヒト肺胞洗浄液のIL-24が重症喘息患者で高値であったことと、相違がある点について現在検討中。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
環境的な面では、2019年9月に本学が移転したためその前後が移転準備のため、通常より外来、病棟、病院運営での業務が通常より負荷が大きく時間を取られてしまった。研究室も引っ越し準備があったので使用制限があった。移転が終了したのちも冬季になりCOVID-19の流行にあわせて、当院のある岩手県では患者は発生していないものの、本研究員が呼吸器科所属、また院内ICTにも所属しており、COVID-19流行に備えての対応に時間を費やす必要があり、予定よりも研究の時間が取れなかった。 当科で増えている癌患者で検体量が多い患者の検体を用いることができない検討したが、実際に調査したところ患者数があまり多くなく、OVAを吸入させた喘息モデルマウスで追加実験を行う方針とした、
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Strategy for Future Research Activity |
喘息モデルマウスの肺胞洗浄液中のIL-24の値が対照群と比較して、むしろ低い傾向にあったことと、我々が以前報告したヒト肺胞洗浄液のIL-24が重症喘息患者で高値であったことの相違がある点について現在検討中。一つの原因として、喘息罹患期間の問題点を考慮した。ヒトの喘息患者は最低でも数年以上罹患しているが、マウスモデルは長くて1週~10日程度であり、もう少し経時的にどのような動きを示すか検討したい。また直接IL-24が関わるかは現時点では不明だが、トファシチニブが気道リモデリング対して治療効果のある薬剤となりうるか検討をすすめる方針。
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Causes of Carryover |
現状ではまだ研究結果を公表できるほどのデータが作成できておらず、関連学会発表への旅費や参加費などを予定より使用されていない。COVID-19の影響で研究会や学会への参加を控えている状況。
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