2017 Fiscal Year Research-status Report
COPD増悪に対する間葉系幹細胞を用いた新たな治療法の開発
Project/Area Number |
17K16062
|
Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
浅見 貴弘 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 共同研究員 (50623865)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | 間葉系幹細胞 / 肺炎球菌 / 慢性閉塞性肺疾患 |
Outline of Annual Research Achievements |
肺炎球菌感染によるCOPD増悪マウスモデルにおいて、間葉系幹細胞(mesenchymal stem cell:MSC)の投与による保護効果を検討するにあたり、下記の検討をおこなった。 (1)肺炎球菌感染マウスモデル:8-10週齢の C57BL/6 マウスに対し、血清型6Cの肺炎球菌を経鼻投与した。このモデルは致死的モデルではないが、気管支肺胞洗浄の総細胞数の推移は肺炎球菌投与後12時間と7日目にピークとなる。12時間後は好中球が上昇し、7日後は組織球が上昇する。気管支肺胞洗浄の細菌量は7時間後、肺組織の細菌量は12時間後にピークとなる。(2)マウスに対するMSC投与:マウスMSCは肺炎球菌感染の1時間後に経静脈的に100万個/200μLを投与した。(3)肺炎球菌感染モデルマウスに対するMSC投与:上記の条件で行ったところ、コントロール群に対し、MSC投与群では、24時間後の気管支肺胞洗浄液における総細胞数、好中球数、MPO活性の減少がみられた。また、気管支肺胞洗浄液中のサイトカインを測定したところ、コントロール群に対しMSC投与群では24時間後のTNF-α、IL-6、IFN-γおよび6時間後のGM-CSFが減少していた。さらに、CXCL-1とCXCL-2は24時間後で減少がみられた。また、24時間後の細菌量が減少していた。一方、気管支肺胞洗浄液において、炎症による肺水腫(透過性亢進)の程度を評価するために蛋白量および抗菌蛋白と報告されているlipocalin2の測定をおこなったが、MSC投与群において減少はみられなかった。(4)以上の内容を報告した(Cytotherapy, 2018;20:302-313) (5)肺気腫モデルに関して、(ア)エラスターゼ誘導肺気腫モデル、(イ)喫煙誘導肺気腫モデルを使用するための準備を行っている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
肺炎球菌感染モデルマウスに対するMSC投与の系の確立に時間を要したことにより、今年度は(ア)エラスターゼ誘発肺気腫モデルマウス、(イ)喫煙誘発肺気腫モデルマウスの確立およびこれらに対しての肺炎球菌投与、インフルエンザウイルスの経鼻投与による感染、MSCの経静脈投与による系の確立、およびMSCの投与効果による生存率、気管支肺胞洗浄液、肺組織等の検討を行う予定であったが、予定には至らなかった。 しかし、エラスターゼ誘発肺気腫モデル、喫煙誘発肺気腫モデル、肺炎球菌の経鼻感染、インフルエンザウイルスの経鼻感染、MSCの取り扱い、MSCの投与、検体の採取それぞれに関しては、遂行可能な準備を整えている。
|
Strategy for Future Research Activity |
前年度の予定を含め、エラスターゼ誘発肺気腫モデル、または喫煙誘導肺気腫モデルに対して、肺炎球菌またはインフルエンザの感染、MSCまたはコントロールとしての線維芽細胞の投与により、MSCの投与効果の検討を行う。 また、当初2年目に予定していた、マクロファージや好中球に対して、タバコ抽出液にて刺激後、肺炎球菌及び関連したToll-like receptor (TLR)2, TLR4, TLR9 リガンド、あるいはインフルエンザ及び関連したTLR7/8,TLR3, TLR9 リガンドを投与しMSC の共培養または培養上清の有無による変化の検討の準備もできており行う。
|
Research Products
(1 results)