2022 Fiscal Year Annual Research Report
Development of a therapeutic method for asthma exacerbation with cross-talk of immune- and peripheral nervous-system
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17K16064
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
芦野 滋 京都大学, オープンイノベーション機構, 特定講師 (10507221)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 気管支喘息 / ウイルス感染 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和4年度では、引き続き、ウイルス感染状態を模倣した気管支喘息の急性増悪モデルマウスを用いて研究を進めた。ウイルス核酸成分である、double stranded RNA (dsRNA) の人工試薬poly I:C を肺内投与した際、気道過敏性の上昇および気道炎症の増悪が誘導された一方で、single stranded RNA (ssRNA) の人工試薬 R848 を肺内投与した際は、それらの増悪が誘導されなかった。dsRNAもssRNA も、細胞内の toll-like receptor (TLR3) または TLR7 という受容体によって認識されて、抗ウイルス応答が惹起されることが知られているが、気管支喘息がウイルス感染状態で増悪を引き起こすときは、dsRNA成分がTLR3に認識される経路が重要であることが考えられた。また、一般的な喘息病態における、肺への好酸球浸潤に加えて、polyI:C投与によって喘息の急性増悪が起きた場合には好中球浸潤も認められることがわかった。 続いて、ウイルス感染状態の喘息マウスの肺組織の細胞解析を行ったところ、polyI:C投与により樹状細胞やマクロファージの細胞表面上に神経ペプチド受容体NK2R が発現することが確認された。また、このNK2R阻害剤を投与することで気道過敏性上昇が抑制され、好中球浸潤も消失することがわかった。NK2R阻害剤によって病態が改善された際に、肺内のサイトカインレベル (IL-4, 5, 13, IFN-g, IL-17など) はほとんど変化しなかった。 これらのことから、NK2R発現細胞によってサイトカイン産生が制御されているのではなく、何らかのサイトカインシグナルの下流にNK2R発現による増悪機序が存在していることが推察された。
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