2018 Fiscal Year Research-status Report
Analysis of a role of ADAMTS13 regarding thrombus formation in kidney
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17K16073
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
吉田 瑶子 東京大学, 医学部附属病院, 特任研究員 (90649443)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | ADAMTS13 / VWF / 血小板 |
Outline of Annual Research Achievements |
ADAMTS13は止血因子であるvon Willebrand因子(VWF)の特異的切断酵素であり、ヒトでは、この酵素が先天的あるいは後天的に欠損することで血栓性微小血管症(TMA)病態を呈する。本研究はADAMTS13遺伝子の全身性遺伝子ノックアウトマウスを用いて、全身のADAMTS13 機能不全がTMAにおける腎障害の発症・進展に、どの程度関与するのかという点を明らかにすることを目的としている。 H29年度の研究を通して、ADAMTS13KOマウスにある種の負荷を与えることで新規TMAモデルマウスの樹立が期待される結果が得られた。そこで、本年度はこの新規TMAモデルマウスの詳細な解析を進めたが、負荷を与えたKOマウスではTMAの徴候であるHbの減少やBUNの上昇を認めたものの、WTマウスでも同様の傾向を示す個体が存在し、KOマウスで有意な差が認められるほどの結果が得られなかった。また、一部のKOマウスで腎臓や心臓、肝臓、肺組織に血小板血栓の形成を認めたが、個体差が大きく、WTマウスでも軽度の血栓を認めた個体が存在した。これらの結果から、今回実験に用いた負荷では新規TMAモデルの樹立が難しいと判断され、TMA病態における腎臓の詳細な解析まで実施することが困難であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ADAMTS13KOマウスの繁殖が安定せず、実験に要するマウスの調達に時間を要したことが理由の1つとして挙げられる。また昨年度の結果から、新規TMAモデルマウスの樹立が期待されたが、ADAMTS13KOマウスでは腎糸球体で血栓が形成される傾向が認められたものの、WTマウスと比べて有意な差を認めず、TMAの徴候(血小板減少、溶血性貧血、腎機能障害)が明確でなかったことなど、TMAモデルマウスの作成が当初の計画通りに進まなかったことも要因の1つである。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、TMAモデルの樹立は従来用いられてきたLPSなどの負荷を用いて行うことを考えている。新規のTMAモデルではないものの、ADAMTS13機能不全が腎障害の発症・進展に与える影響を解析することが可能になりうるモデルの樹立を図る。また現在、マウスの腎動脈に塩化鉄傷害による血栓形成負荷を与え、腎臓に直接的に血栓を形成させる実験も並行して行っている。TMAモデルの樹立が困難であった場合は、この塩化鉄傷害による腎血栓モデルを用いて腎臓の形態学的変化やVWFの動態を解析することも考えている。
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Causes of Carryover |
平成30年11月末から平成31年3月末まで産休を取得し、その間、実験が遂行できなかったため次年度使用額が発生した。本年度は、昨年度に引き続き、マウス飼育維持費や解析のための抗体の購入などに使用する予定である。
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