2017 Fiscal Year Research-status Report
KLHL2/3の生体内での機能解析による血圧制御機構の新規解明
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17K16076
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
銭谷 慕子 (三澤) 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 非常勤講師 (10760283)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | KLHL3 / KLHL2 / 高血圧 / ナトリウム輸送体 |
Outline of Annual Research Achievements |
KLHL3ノックアウトマウスの作成と解析。KLHL3の遺伝子改変を行ったES細胞を用いて、KLHL3プロモーター下にβ-galactosidaseを発現するKLHL3 KOマウスを作成した。このマウスを用いてKLHL3 は腎臓以外にも脳など複数の臓器に発現していることを明らかとした。KLHL3 KOマウスの腎臓ではWNK1とWNK4の上昇を認め、高血圧など偽性低アルドステロン症2型(PHA2)の表現系を示した。しかしながら、腎臓以外の臓器ではWNKキナーゼの上昇は認められず、腎臓以外の表現系も認められなかった。また、変異KLHL3によって起こるPHA2は変異KLHL3のドミナントネガティブ効果であることを明らかとした(Mol Cell Biol 2017)。 KLHL2ノックアウトマウスの作成と解析。CRISPR/Cas9システムを用いてKLHL2ノックアウトマウスを作成した。KLHL2はKLHL3と高い相同性を持つにもかかわらず、KLHL2 KOマウスは、PHA2の表現系を示さなかった。KLHL2の発現部位が腎髄質優位であり、NCCの発現部位である遠位尿細管での発現が少ないためであると考えられた (Biochem Biophys Res Commun. 2017)。 また、慢性腎臓病の治療薬に関する研究も行った。血液疾患の治療で使用されるプロテアソーム阻害剤であるボルテゾミブをアリストロキア酸による薬剤性腎障害マウスモデルに投与したところ、腎臓における線維化、炎症、アポートシスに関わるマーカーの改善及び、血清クレアチニンや腎組織所見の増悪の抑制が認められ、新たな腎障害治療薬となる可能性を示した(Sci Rep. 2017)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
KLHL2 KOマウス及びKLHL3ノックアウトマウスについてはすでに作成ずみで、腎臓における機能解析を行い、論文発表を行った。 KLHL2及びKLHL3のノックアウトマウスにおける腎臓以外の臓器では、比較的発現量の多い脳においてもWNKキナーゼの発現量に変化が認められず、明らかな表現系も認められなかった。 KLHL3蛋白のWNK以外の基質の解析については、KLHL3ノックアウトマウスを持ちいて、質量分析を行った。この結果から得られた候補タンパクについて今後解析を行っていく。
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Strategy for Future Research Activity |
KLHL2及びKLHL3それぞれ単独のノックアウトマウスについてはほぼ解析を終えたので、今後はKLHL2/KLHL3のダブルノックアウトマウスの作成及び機能解析を行う。KLHL2とKLHL3は高い相同性を有している、その高い相同性のため互いに機能を代償していること予想される。KLHL2及びKLHL3のそれぞれ単独のノックアウトマウスでは腎臓以外の表現系に乏しい結果であったが、ダブルノックアウトマウスの、機能解析を行うことで腎臓以外の臓器・組織でのKLHL2とKLHL3の働きを明らかとする。 KLHL3ノックアウトマウスを利用した質量分析結果について解析を行う。
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[Presentation] KLHL2 は腎臓でWNK4 蛋白の分解を行う2017
Author(s)
笠木祐里, 蘇原映誠, 相田知海, 高橋大栄, 西田秀範, 野村尚弘, 銭谷慕子, 森崇寧, 佐々木絵美, 安藤史顕, 頼建 光, 内田信一
Organizer
第 60 回日本腎臓学会学術総会
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[Presentation] Generation and Analysis of KLHL2 Knockout Mice2017
Author(s)
Yuri Kasagi, Daiei Takahashi, Tomomi Aida, Hidenori Nishida, Naohiro Nomura, Moko Zeniya, Takayasu Mori, Emi Sasaki, Fumiaki Ando, Tatemitsu Rai, Shinichi Uchida, Eisei Sohara.
Organizer
The 50yh Annual Meeting of the American Society of Nephrology
Int'l Joint Research
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