2018 Fiscal Year Research-status Report
高齢者腎臓病の予後不良因子、三次リンパ組織を検出する新規バイオマーカーの開発
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17K16081
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
佐藤 有紀 京都大学, 医学研究科, 特定助教 (60762086)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 急性腎障害 / 老化 / 三次リンパ組織 / 慢性炎症 / バイオマーカー |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は腎予後不良因子である三次リンパ組織を検出するバイオマーカーを同定することであるが、それにはマウスおよびヒトにおける三次リンパ組織の性質を明らかにすることが必須である。前年度の解析でヒトおよびマウスの三次リンパ組織は質的な多様性があることが明らかになった。今年度はヒトおよびマウスの三次リンパ組織の性質によって大きく3つのstageに分類できること(stage1 -3)、障害の強さに応じてstageが上昇することをマウスで示した。このことはこの三次リンパ組織のステージ分類が障害・炎症を反映する新規形態マーカーになる可能性を示すものである。さらに三次リンパ組織と単なる炎症細胞浸潤の違いをB細胞/T細胞比を取ることで差別化できる可能性があることを見出した(本比率が高いほどTLTの可能性が高い)。本知見は三次リンパ組織を反映するバイオマーカーを考案する際に腎臓におけるB細胞の存在に着目することで他の病態と区別できる可能性を示唆するものである。さらに既存の免疫抑制剤によって三次リンパ組織に可塑性があることも見出した。このことは三次リンパ組織を反映するバイオマーカーは治療反応性の評価にも有用である可能性を支持するものである。 現在これらの多様性に応じた三次リンパ組織の分子基盤解析を行い、昨年絞り込んだ候補分子のELISAも行なっている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
マウスおよびヒトにおける三次リンパ組織の重要な性質を複数明らかにすることができた。これらの知見はバイオマーカー探索にとどまらず三次リンパ組織を標的とした創薬にも重要な知見と考えられるため。
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Strategy for Future Research Activity |
ヒトにおける三次リンパ組織の意義について明らかにし、三次リンパ組織の各ステージごとの構成細胞および分子の探索を行いバイオマーカー探索を継続する。
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Causes of Carryover |
網羅的解析のためのサンプル回収中であったため。
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Remarks |
2018年4月 第55回日本臨床分子医学会学術集会 学術奨励賞 2018年6月 第61回日本腎臓学会学術総会Best English Presentation Award 2018年12月 日本抗加齢医学学会研究奨励賞(2018年度)
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