2017 Fiscal Year Annual Research Report
脂肪毒性抑制機構としての脂肪滴-オートファジー相互作用の解明と治療への応用
Project/Area Number |
17K16083
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
山本 毅士 大阪大学, 医学部附属病院, 医員 (20756994)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | オートファジー / オートファジーフラックス / 脂肪滴 / リソソーム / ミトコンドリア |
Outline of Annual Research Achievements |
オートファジーはリソソームにおける細胞質成分分解機構であり、細胞恒常性維持に重要な役割を果たす。われわれは、高脂肪食(HFD)によりオートファジーへの依存性が高まるがリソソーム障害からオートファジーがスムーズに機能せず腎障害につながるという、新しい腎脂肪毒性機序を報告した(JASN 2017 T Yamamoto, Y Takabatake, et al.)。今回の研究課題では、臨床で頻用されるエパデール(EPA)の効果とその機序についてin vivo(マウスモデル)およびin vitro(マウス近位尿細管培養細胞)を用いて検討した。EPA併用はマウス腎近位尿細管において、HFDによるリソソーム内リン脂質蓄積を減少させ、ミトコンドリア障害・炎症・腎繊維化を軽減させ、一方で脂肪滴形成を促した。オートファゴソーム可視化マウスを用いた検討により、EPA併用はHFDによるオートファジーフラックス停滞を解消した。近位尿細管培養細胞においてもEPAはパルミチン酸(PA)によるフラックス障害と細胞傷害を軽減した。さらに蛍光標識飽和脂肪酸を用いたpulse chase assayから、PA投与でリソソーム内に蓄積する脂肪酸がEPA併用時には脂肪滴へ貯留することが判明した。以上より、EPAは飽和脂肪酸を細胞保護的な脂肪滴内に囲い込むことによって、リソソーム障害を軽減しオートファジーフラックスと細胞機能を回復させることがわかった。
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[Presentation] イコサペント酸エチルは高脂肪食によるオートファジーフラックス障害を解除し腎脂肪毒性を軽減する2017
Author(s)
山本 毅士, 高畠 義嗣, 南 聡, 高橋 篤史, 難波 倫子, 酒井 晋介, 藤村 龍太, 松田 潤, 木村 友則, 新村 文男, 松阪 泰二, 猪阪 善隆
Organizer
日本腎臓学会総会
Place of Presentation
仙台
Year and Date
2017-05-26 – 2017-05-28