免疫調節物質ガレクチン-9を用いたIgA腎症の病態解明

2018 Fiscal Year Research-status Report

• Project/Area Number: 17K16089
• Research Institution: Kagawa University
• Principal Investigator: 守時 政宏 香川大学, 医学部, 助教 (40612528)
• Project Period (FY): 2017-04-01 – 2020-03-31
• Keywords: ガレクチン-9 / IgA腎症 / ノックアウトマウス

Outline of Annual Research Achievements

CRSPR/Cas9法を用いたガレクチン-9ノックアウトマウスの作製を行い、モデルマウスの確立に成功した。これは今回独自に作製したものであり、最近遺伝子改変モデルマウス作製に利用されているCRSPR/Cas9法を用いたという点でも意義深い。作製したマウスにおいては、DNAシーケンスにて変異を確認しており、現在繁殖を行っている。しかしながら、授乳中に母親マウスが高率に死んでしまい、安定的な維持には至っていない。ELISA法にて血中のガレクチン-9濃度が検出限界以下であることも確認しており、変異に関しては確証を得ている。今後マウスの繁殖に努め、動物実験に使用予定である。IgA腎症患者の血中・尿中ガレクチン-9濃度を測定し、重症度や腎機能等との相関関係をみる研究については、症例登録を進めている。より広く腎疾患とガレクチン-9との関係について検討するため、IgA腎症患者だけでなく、腎生検を行う患者に対象を広げるように臨床研究のプロトコールを一部変更した。こちらに関してはすでに当大学倫理委員会に変更申請し、承認済みである。これまで単一の疾患とガレクチン-9濃度との関係について検討した報告はあるものの、複数の疾患を網羅的に検討した報告はなく、新たな試みといえる。

Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

臨床研究の部分においては、IgA腎症に対する扁桃摘出、ステロイド療法の症例が予想よりも少なく、症例登録が進んでいない。IgA腎症だけでなく、他の腎疾患とガレクチン-9との関係についても検討するため、対象を腎生検を行う患者に拡大した。

Strategy for Future Research Activity

IgA腎症患者の血中・尿中ガレクチンー9濃度を測定し、IgA腎症の重症度や寛解率、腎機能との相関関係について検証する。IgA腎症以外の腎炎等についても血中・尿中ガレクチンー9濃度を測定し、それぞれの疾患とガレクチン-9濃度の関係について検討する。
作製したノックアウトマウスを用いて疾患モデルを作製し、ガレクチン-9の投与実験を検討している。

Causes of Carryover

研究の進捗状況に応じて適宜必要な試薬を購入したが、当初の予定より少なく済んだため。今後も実験試薬の購入等に充てる予定。