2018 Fiscal Year Annual Research Report
Aberrant post-translational modification in diabetic nephropathy
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17K16097
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
石澤 健一 帝京大学, 医学部, 助手 (10772684)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 糖尿病性腎症 / KLHL3 / リン酸化 |
Outline of Annual Research Achievements |
糖尿病性腎症の進展には腎臓内レニン・アンジオテンシン系の異常活性化が示唆されるものの、病態の全貌は未解明である。アンジオテンシンIIの新規エフェクターであるユビキチンリガーゼ構成分子Kelch-like 3(KLHL3)の翻訳後修飾による機能調節に焦点をあて、その異常と糖尿病性腎症との関連について解析を試みた。 肥満糖尿病モデルのdb/dbマウスの腎臓において、PKCおよびKLHL3のリン酸化レベルは上昇し、Na-Cl共輸送体(NCC)の活性化が認められた。免疫染色でNCCとリン酸化KLHL3の共局在を認め、遠位尿細管においてリン酸化KLHL3が誘導されていると考えられた。 SGLT2阻害薬(ipragliflozin; Ipra)の短期投与により、KLHL3のリン酸化とNCCの抑制が認められた。本モデルでNCCの活性化を引き起こすメカニズムとしてアンジオテンシンIIおよびカリウムの関与を検討したが、血清カリウム値はcontrol群 (db/+)とdb/db群で有意差を認めず、またdb/dbにcandesartanを投与してもNCCは抑制されなかった。細胞内糖代謝異常とKLHL3リン酸化の関連を検討するため、HEK細胞と遠位尿細管細胞に対してグルコース負荷を行ったところ、PKCの活性化と共にKLHL3のリン酸化レベルが有意に上昇した。これらの変化はPKC阻害薬によって抑制され、db/dbにおけるKLHL3のリン酸化とNCCの活性化もPKC阻害薬によって是正された。 以上から、肥満糖尿病における食塩感受性亢進にKLHL3のリン酸化異常を介したNCCの活性化が関与しており、SGLT2阻害薬はこれらの変化を抑制し糖尿病における食塩感受性亢進を是正すると考えられた。
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