2017 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
17K16101
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Research Institution | Tokyo Medical University |
Principal Investigator |
齋藤 優 東京医科大学, 医学部, 後期臨床研修医 (30793385)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 腎線維症 / AAV / miRNA / miR-29b |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究はmiR-29bを腎臓へデリバリーをし、腎間質線維化を抑制することが最終的な研究目的である。そのためのデリバリーシステムとして当初はキトサンの使用を予定していたが、期待していたほどの導入効率は得られなかった。そこで本年度本研究では他のデリバリーシステムを検討した結果、非病原性ウイルスベクターであるAAV (adeno-associated virus)ベクターに着目した。AAVベクターには1-12の異なるセロタイプが存在し、各セロタイプごとに組織親和性が異なることが知られている。そこでまず本研究では腎臓へのデリバリーに最適なAAVの型を検討した。GFPを発現する1-9の異なるAAVセロタイプを使用し、ラット及びヒトの腎臓細胞への感染効率をフローサイトメトリーを使用して検討した。結果、in vitroの実験系では、AAV6の感染効率が最も高いことが分かった。次にin vivoでの感染効率を検討するため、GFPを発現する1-9の異なるAAVセロタイプを使用し、マウスの腎臓への感染効率を検討した。マウスの腎臓へのAAVベクターの投与方法としては、臨床的にも内視鏡的に応用可能である、経腎盂的投与を行った。結果、in vitroでの結果同様、AAV6の感染効率が最も高いことが分かった。これらの結果よりAAV6は腎臓へのデリバリーに最も適したセロタイプであることが分かった。 また本研究では、miR-29bを高発現するAAVベクターを作成するため、各ベクターにおけるmiR-29前駆体の二次構造を検討した。結果、miR-29b高発現AAVベクターの作成に成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の主眼はmiR-29bのデリバリーによる腎線維症の抑制である。当初予定していたキトサンによるmiR-29bのデリバリーは予想していた程の導入効率は得られなかった。そこで本年度は非病原性ウイルスベクターであるAAVベクターに着目した。AAVには1-12のセロタイプが存在し、各セロタイプで組織親和性が異なる。今年度はAAV6が最も腎臓細胞に適したベクターであることを突き止め、またマウスを使用したin vivoの実験においてもAAV6が高効率に腎臓尿管上皮細胞に感染することが判明した。また本研究では、miR-29bを高発現するAAVベクターを作成するため、各ベクターにおけるmiR-29前駆体の二次構造を検討した。結果、miR-29b高発現AAVベクターの作成に成功した。これらのことから、AAV6を使用したドラッグデリバリーシステムはmiR-29bのデリバリーに適していると考えられる。 本年度は腎臓へのin vivoにおけるデリバリーシステムまで検証でき、進行状況としては大変順調であると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の本研究の課題は、miR-29b高発現AAVベクターを使用した、腎間質線維化抑制の検討である。本年度の研究によってAAVベクターの腎臓への投与方法は経腎盂的投与が最も適していることが判明した。 腎線維症モデルマウスとしては、片側尿管結紮モデル(UUOモデル)を使用する。UUOモデルは尿管結紮後3日目より腎間質線維化が始まるモデルマウスである。 UUOマウスへのAAV6ベクターの経腎盂的投与によるmiR-29bのデリバリーにより、腎間質線維化の抑制を検討する。
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Causes of Carryover |
本年度は当初予定していたよりも実験の進行が早く、in vivoにおけるデリバリーの検討も行うことが出来た。そのため、研究費を前倒しで多く請求し使用した。その際に生じた残金が上記金額である。 次年度では上記残金及び請求金額を使用し、マウスを使用した線維化抑制の実験を引き続き行っていく。
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