2018 Fiscal Year Research-status Report
RAGE-aptamerのループス腎炎に対する腎保護作用とそのメカニズムの解明
Project/Area Number |
17K16106
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
田口 顕正 久留米大学, 医学部, 助教 (10647738)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | RAGE / ループス腎炎 / 尿細管障害 / 腎線維化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究はRAGEがどのようにループス腎炎の進展に関与しているかというメカニズム解明を行うと共に、RAGE antagonismとして我々が共同開発したRAGEアプタマーがループス腎炎の新たな治療戦略となるか解明することを目的としたものである。本年度、SLE prone mouseであるMRL/lprマウスにRAGEアプタマーを投与したところ、尿細管障害マーカーであるKim1 expression levelが有意に低下していることから、RAGEアプタマーに尿細管保護効果があることを見出した。さらにMRL/lprマウスにおいて糸球体病変が起きる16週令よりもはるかに早い8週令の時点で、RAGEが尿細管細胞において既に発現しているほか、週令が経つにつれ尿中排泄RAGE濃度は高くなり尿細管障害マーカーとして汎用されている尿中NAG濃度と正相関の関係性を有していることを見出した。これらの知見から、SLE病態でネクローシス細胞から放出されたヌクレオゾームやCell free DNAが血中→尿中へ糸球体濾過後に、尿細管細胞表面のRAGEがそれらをトラップし細胞内で分解処理していると仮説が成り立つ。そのためSLE病勢が増していくにつれ、ヌクレオゾーム増加が尿細管細胞の分解許容能を超えると尿細管細胞が進行し、末期腎不全へ進展していくのではないかと考えている。くわえて、10週間のRAGEアプタマー投与で、尿細管間質の線維化は改善し、線維化促進サイトカインであるTissue growth factor-bは有意に抑制されていることを確認している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
今年度久留米大学医学部動物センターの建て替えに伴い、マウスを使用した研究を行うことができなかった。そのため進捗状況は遅れており、来年度へ科研費の延長をお願いし承諾頂いている。
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Strategy for Future Research Activity |
SLE prone mouseであるMRL/lprマウスを使用したin vivo実験は順調に進みpromissingな結果を得ることができた。腎保護効果を確認できたと同時に、肝・脾・肺においてadverse effectがないことが確認できている。しかしながら、より信頼性の高い知見を得るために遺伝子改変マウスを使用し、RAGEとループス腎炎進展の関連性を証明する必要がある。そこで野生型マウス(C57BL6/J background)およびRAGE KOマウス(C57BL6/J background)にPrisutaneを投与しDrug-induced lupus nephritisを誘導することを計画している。RAGEKOマウスにおいてループス腎炎の進展が抑制されれば、その関連性を高い質を持って世界に発信することができると考えられる。
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Causes of Carryover |
我々が動物管理および動物管理を行っている久留米大学動物センターが老朽化による建て替えのため、今年度使用不可の状態となった。そのため、本研究の主たる実験である動物実験が進まなかったため、次年度への科研費の延長を申請し承諾を得ている。
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Research Products
(1 results)