2017 Fiscal Year Research-status Report
新規アルツハイマー病モデルの開発とDNA傷害の解析
Project/Area Number |
17K16113
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
間野 達雄 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (20704331)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | アルツハイマー病 / DNA傷害 / 細胞モデル / 三次元培養 |
Outline of Annual Research Achievements |
アルツハイマー病患者の脳において、アミロイドβおよびリン酸化タウの蓄積という病理学的変化は古くから知られるところであるが、そのようなタンパク質が神経細胞においてどのように神経細胞機能を傷害しているのかは明らかではなかった。神経細胞におけるDNAメチル化変化をスクリーニングとして、DNA修復タンパク質であるBRCA1の機能異常が起きていることを見出した。アルツハイマー病患者の脳において、神経細胞でBRCA1は不溶化しており、リン酸化タウとともに細胞質に凝集していた。更にはアミロイドβは神経細胞におけるDNA傷害を誘導していることも明らかになり、アルツハイマー病におけるDNA傷害と、その修復機構であるBRCA1の機能不全が病態に関与していると考えられた。DNA傷害の蓄積を中心としたアルツハイマー病の病態を解析するためのモデル構築を本研究の目標とした。 ヒト由来の神経前駆細胞に変異型アミロイド前駆タンパク(Amyloid precursor protein; APP)遺伝子をレンチウィルスを用いて導入し、アミロイドβの過剰産生を行う神経細胞を作成した。本細胞を用いて、三次元培養系を構築し、神経細胞への分化を各種神経細胞マーカーを用いて確認した。また成熟した神経細胞は分裂することができず、分裂可能が多くの体細胞とは異なったDNA傷害・修復系が存在すると考えられ、DNA傷害・修復マーカーについても、免疫染色による確認をおこなった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
神経前駆細胞に対して、変異型APP遺伝子をレンチウィルスで導入し、抗生剤およびFluorescence activated cell sorting (FACS)によって遺伝子導入に成功した細胞を選択した。導入した遺伝子が発現してタンパクを合成していることについては、ウェスタンブロットによって確認を行った。また、本細胞の神経細胞への分化を誘導し、各種神経細胞マーカーによる免疫染色で確認を行った。更に三次元細胞培養系を確立するため、細胞外基質に細胞を包埋しての培養を行って、このような培養系においても各種神経細胞マーカーの発現が誘導されてくることを確認した。 神経細胞におけるDNA傷害・修復を評価するモデル系とするため、コントロールとしてDNA傷害性薬剤によるDNA傷害の誘導を行って、DNA傷害・修復に関連するタンパク質に対する抗体で免疫染色を行って評価した。
|
Strategy for Future Research Activity |
アルツハイマー病におけるDNA傷害がどのような時系列で生じているのかを評価することを目的として、DNA障害部位に集積するタンパク質に対して蛍光タンパク質を融合したプローブを作成することとしている。本プローブを昨年度に作成した細胞モデルに適応することによって、アミロイドβによるDNA傷害がどのように蓄積するのかを検討することが可能になると考えている。本細胞モデルを用いて、アルツハイマー病における不溶性タンパクの蓄積についても検討を行っていく。
|
Causes of Carryover |
納期変更にともなって年度内の納品ができなかった製品があったため。発注を中止し、次年度に改めて発注することとした。
|
Research Products
(14 results)
-
-
-
-
-
-
[Journal Article] Neuron-specific methylome analysis reveals epigenetic regulation and tau-related dysfunction of BRCA1 in Alzheimer’s disease2017
Author(s)
Mano T, Nagata K, Nonaka T, Tarutani A, Imamura T, Hashimoto T, Bannai T, Koshi-Mano K, Tsuchida T, Ohtomo T, Takahashi-Fujigasaki J, Yamashita S, Ohyagi Y, Yamazaki R, Tsuji S, Tamaoka A, Ikeuchi T, Saido T, Iwatsubo T, Ushijima T, Murayama S, Hasegawa M, Iwata A
-
Journal Title
Proceedings of the National Academy of Sciences
Volume: 114
Pages: E9645~E9654
DOI
Peer Reviewed / Open Access
-
-
-
-
-
-
-
-