2017 Fiscal Year Research-status Report
最初期病変から再現する新規パーキンソン病モデルマウスの開発
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17K16119
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
上村 紀仁 京都大学, 医学研究科, 特定助教 (90749045)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | パーキンソン病 / αシヌクレイン / 伝播 / マウスモデル |
Outline of Annual Research Achievements |
野生型マウスの嗅球へのフィブリル接種により、接種後1ヵ月で嗅覚伝導路と海馬CA1にα-Syn凝集病変が形成された。接種後18ヵ月まで経時的に解析を行ったところ、新規脳部位(対角帯、中隔核、視床下部、歯状回など)に伝播が確認されたが、野生型マウスにおける伝播は遅く、病変も疎であった。接種後18ヵ月の時点で網羅的な行動解析を行ったが、行動異常は認められなかった。一方で、α-Syn BAC Tgマウスの嗅球にフィブリルを接種すると、嗅覚伝導路と辺縁系を中心にα-Syn凝集病変の劇的な伝播が観察された。接種後7ヵ月において行動解析を行ったところ、嗅覚障害、不安様行動、記憶保持の障害が観察された。以上により、嗅球を起点とするα-Syn凝集病変の進展により、PDの非運動症状である嗅覚障害、不安、認知機能障害が惹起される可能性を考えた。 野生型マウス胃壁にフィブリルを接種すると、接種後45日には、迷走神経背側核にα-Syn凝集病変が認められ、これは予め迷走神経切断術を行うことにより見られなくなることから、迷走神経を逆行性に凝集病変を形成したと考えた。同マウスについても、接種後12ヵ月まで経時的に解析を行ったが、意外なことに、迷走神経背側核におけるα-Syn凝集病変は経時的に減少し、他脳部位への伝播も見られなかった(in submission)。Braak仮説に沿ったα-Syn凝集病変の伝播を再現するには、何らかの他の要因が必要と考えた。また、α-Syn BAC Tgマウスの胃壁に接種を行ったところ、野生型マウスと比較して、迷走神経背側核により多くのα-Syn凝集病変が観察された。経時的な解析では、接種後4ヵ月の時点で延髄迷走神経背側核以外に疑核や延髄網様体へのα-Syn凝集病変の伝播が確認された。しかし、以降の解析では凝集病変は経時的に減少し、他脳部位への更なる伝播も観察されなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
消化管壁にα-Synフィブリルを接種する実験は、野生型マウスについては論文投稿中で、α-Syn BAC Tgマウスについては接種後12ヵ月の解析を残すのみである。 嗅球にα-Synフィブリルを接種する実験は、野生型マウスとα-Syn BAC Tgマウスいずれも解析をほぼ終了しており、平成30年度前半に論文投稿可能になると思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
予定していたいずれの実験も順調に遂行できている。平成30年度は、論文投稿に向けたデータ整備と執筆、またリバイス実験等を行い、同年度中に受理されることを目指す。
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Causes of Carryover |
生じた次年度使用額は端数である。次年度には全て使用する予定である。
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Research Products
(6 results)