2017 Fiscal Year Research-status Report
PD患者髄液中αSyn複合体解析による、エクソソームを介した凝集体伝播機構の解明
Project/Area Number |
17K16122
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
池中 建介 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (70774058)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | エクソソーム / αシヌクレイン / パーキンソン病 |
Outline of Annual Research Achievements |
αシヌクレインの凝集体が細胞から細胞に伝播していくことでパーキンソン病などの神経疾患は進行性の経過をたどることが知られている。細胞から細胞へ伝播する際に、シヌクレインはエクソソームに取り込まれて放出されることが知られている。しかし、エクソソームにシヌクレインがリクルートされる機構や、凝集したシヌクレインが選択的にリクルートされる機構については十分にわかっていない。また凝集体の構造多型によって細胞毒性や伝播のされやすさが異なることが知られているが、伝播性において構造多型によるエクソソームへの取り込みの違いがあることが予想されていた。 我々は平成29年度において、αSynがエクソソームに取り込まれて細胞外に放出されるメカニズムにおいて、Rpn1が関与していること、そしてそれには構造特異的な認識機構が存在することを明らかにした。 まず、Rpn1の過剰発現はαSynのエクソソームへの取り込みを促進し、ノックダウンは低下させた。次に、その効果について野生型Syn(WT-SYyn)と家族性PDの原因となるG51D変異Syn(G51DSyn)の違いを検証した。G51Dはグリア細胞にもシヌクレインが広がるなど、より広範囲な病理を示すことが知られている。非常に興味深いことに、G51DSynは、WTSynに比較して、よりRpn1によるエクソソームへの取り込みが促進されていることをが示された。我々はこれまでWTSynとG51DSynの構造的相違を示してきており、その構造の違いがRpn1との結合能を変化させ、病態の広がりを変えていることが推測された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
エクソソームを介したαシヌクレインの伝播機構の解明を試みている。その中で我々は、取り込みに非常に重要な役割をする分子の候補を同定した。 またシヌクレイン凝集物の構造多型が、Rpn1との結合の違いを生み、伝播脳の違いを生む可能性をしめした。
|
Strategy for Future Research Activity |
今年度はWTSynとG51D凝集物に対するRpn1結合能の違いやエクソソームへの取り込みの違いを示した。今後は、Rpn1に限らず、網羅的にαSynと結合してエクソソームへリクルートする分子の同定をする。具体的には、αSynのフィブリルと細胞ライセートを混合し、遠心によって可溶画分、不溶画分を分離する。αSynフィブリルの混合によって沈降する成分をショットガン解析する。 一方で、WTsynとG51DSynに限らず、WTSynにおいても実は構造の異なる2種類のシヌクレイン凝集物が形成されることを我々は示してきている。これは変異を持たない人であってもパーキンソン病、多系統萎縮症といった異なる疾患を生じることを考えると病態の解明に極めて重要である。そこで、異なる構造のWTSynフィブリルがRpn1との結合能の差を介して伝播能を変えうるのか検証をしていく。
|
Causes of Carryover |
2年計画で解析を進めるために、最も予算が必要な点がシヌクレインフィブリルと結合する因子の網羅的な解析である。その予算を次年度に確保するために当該年度は予算をできるだけおさえたため
|