2018 Fiscal Year Annual Research Report
Development of a new treatment for CNS demyelinating disorders targeting glucose and monocarboxylate transporter
Project/Area Number |
17K16124
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
渡邉 充 九州大学, 病院, 助教 (30748009)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 多発性硬化症 / 視神経脊髄炎 / グリア細胞 / グルコース担体 / 乳酸担体 / ミクログリア / 軸索障害 / バイオマーカー |
Outline of Annual Research Achievements |
中枢神経はグルコースを基質とし、ニューロンやグリア細胞に発現するグルコース担体(GLUT)や乳酸担体(MCT)を介し血液から脳実質内へ栄養物質が絶えず供給される必要がある。脱髄や軸索障害に関連する可能性があるとして注目したGLUTsやMCTsのうち、GLUT5の発現変化について、まずは病理学的な検討を行った。 中枢神経脱髄疾患の一つであるBalo病は同心円病変を呈することが特徴であり、典型病巣では最外層が急性期病変で、中心部は陳旧病変とされる。今回の検討でGLUT5陽性細胞は、急性期活動性病変である最外層に多数認めたのに対し、中心部の慢性期病巣では陽性細胞が乏しかった。一方、炎症性のマーカーであるCD68や抗炎症性のマーカであるCD163の陽性細胞は最外層から中心部まで広く認めた。レジデントミクログリアに特異的とされているTMEM119の分布も評価したところ、GLUT5と類似した空間的分布を呈しており、GLUT5もレジデントミクログリアで発現しているものと推定されるとともに、脱髄病変のなかで急性期に特異的に関与していることが示唆された。 一方、軸索障害やグリア細胞の障害の臨床的意義を評価するために、多発性硬化症(MS)や視神経脊髄炎関連疾患(NMOSD)患者の血液中のニューロフィラメント軽鎖(NfL)の発現やMCT4を発現するアストロサイトの細胞骨格蛋白であるGFAPを測定し、臨床的指標との相関を評価した。結果、MSにおける血清中NfLとNMOSDにおける血清中GFAPは疾患重症度のみでなく疾患活動性の指標になることを明らかにした。また血清GFAP/NfL比は急性期にNMOSDとMS間で有意に異なり、病態の違いを反映し、NMOSDではアストロサイト障害が重要であることを示している結果と考えられた。今後はこのアストロサイト障害の機序とMCT4の発現変化との関連を評価する。
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