2017 Fiscal Year Research-status Report
グリアーニューロン相互作用を再現する神経変性疾患iPS細胞モデルの確立
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17K16130
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
志賀 孝宏 順天堂大学, 医学(系)研究科(研究院), 博士研究員 (50784378)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | iPS細胞 / グリア / ニューロン / パーキンソン病 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまで神経変性疾患におけるin vitroの研究は、ニューロン単独の解析が主として行われており、グリア側における異常を踏まえた研究報告例はほとんど存在しない。しかしながらニューロン‐グリア間の相互作用が神経変性の病態に深く関与していると近年では考えられており、本研究計画は、これまで効率的な誘導が難しかったヒトiPS細胞からグリア系細胞を高効率に誘導する分化誘導系を用いて、複雑なニューロン‐グリア間ネットワークを遺伝性パーキンソン病iPS細胞(PARK4-iPSC)を用いて再現し、神経変性疾患おけるグリア細胞の関与を明らかにすることを目的とする。同時にこの評価系を小スケール化し、ニューロン‐グリアの相互作用に着目した創薬スクリーニングを実現するシステムを開発することを目的とする。 平成29年度は主に以下の研究を実施した。 ①ヒトiPS細胞から、成熟速度の速い神経幹細胞を誘導する3つ阻害剤カクテルを用いることで(K Fujimori et al.2017)、健常者ヒトiPS細胞からグリア細胞への分化誘導を約50日間前後で安定的に行えることを確認した。②同様の分化誘導法を用いて、遺伝性パーキンソン病iPS細胞からも同様にグリア細胞を分化することが可能であることを確認した。③グリア細胞の成熟・老化を促進させる可能性のある化合物を同定した。 これらの成果は一部、学会にて報告及び特許申請を行っている。iPS細胞由来ニューロン・グリア系細胞の共培養条件の最適化を現在行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度中に行う予定であるニューロン・グリア系細胞の共培養システムの培養条件の最適化も問題なく進行しており、全体としておおむね順調に進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
現時点ではおおむね順調であり、引き続きニューロン・グリア系細胞の共培養の最適化条件を最適化する。共培養条件が最適化され次第、当初の計画通り、小スケール(96well)での細胞異常解析を行うとともに創薬スクリーニングに着手する予定である。
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Causes of Carryover |
本研究計画は、ニューロン・グリア共培養システムを用いて、グリア系細胞側の病態異常を見出すことにある。そのため、グリア系細胞の誘導法の改善及び再現性といった、共培養を開始するための準備に前半を占めた。以上のことから、費用の掛かる共培養システムの構築は年度後半より本格的に開始しており、一部を来年の使用額として繰り越しを行った。
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Research Products
(2 results)