2019 Fiscal Year Research-status Report
SGLT2阻害による非生理的尿糖排泄下の糖代謝制御に関する新規数理モデルの構築
Project/Area Number |
17K16148
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
中村 友昭 神戸大学, 医学研究科, 医学研究員 (60784006)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 糖尿病 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究はSGLT2阻害薬服用者の正常血糖高インスリンクランプでの解析データを基に、「SGLT2阻害薬による非生理的範囲の尿糖排泄という要因を含んだ新規な糖代謝制御に関する数理モデル」を構築することを目的とする。このような新規な数理モデルの解析を通じ、SGLT2阻害薬の代謝・ホルモン環境への影響や薬効予測要因の同定に加え、未知の耐糖能決定要因の解明に繋がる可能性もあることから、その学術的意義は大きいといえる。 2型糖尿病患者を対象にSGLT2阻害薬を常用量服用させ、開始6日目までに経口ブドウ糖負荷試験ならびに正常血糖高インスリンクランプを実施し、血糖値、血清インスリン値、血漿グルカゴン値及びCPR値の時系列データと尿糖排泄量のデータを収集する。非生理的尿糖排泄や肝糖産生、グルカゴン分泌の刺激と抑制等の流束を加えた新規な数理モデルを構築し、収集するデータと既に収集済みのSGLT2阻害薬非服用者のデータをモデルに代入し、各流束のパラメーターを決定する。パラメーター間及びSGLT2阻害薬を服用・非服用者間のパラメーターの関係を検討し、SGLT2阻害薬の代謝に及ぼす影響や血糖恒常性維持に関わる新規な法則を見いだすことを目指す。 平成29年度は約40名、平成30年度は約60名のSGLT2阻害薬を服用した際の被験者における経口ブドウ糖負荷試験ならびに正常血糖高インスリンクランプの血糖値とホルモン値の時系列データを収集することを計画していたが、データ収集数は各年度でそれぞれ22名、17名であり、研究開始時より累積39名にとどまった。 データ収集が当初の計画よりも遅れているため、令和元年度も引き続き正常血糖高インスリンクランプと経口ブドウ糖負荷試験のデータ収集を行った。令和元年度のデータ収集数は26名であり、累積65名分のデータ収集となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
当初の計画では、研究対象者を「耐糖能が正常型または境界型のボランティアならびに2型糖尿病患者」としていたが、「2型糖尿病患者」に変更となったことにより、研究対象者集団が小さくなり、研究対象者のリクルートが計画よりも遅れた。また、正常血糖高インスリンクランプを施行する際に用いる機器の不具合により、本研究に必要な検査を施行することができない期間があった。 令和元年度の2月以降、新型コロナウイルス感染症の影響により、被験者のリクルートが滞ることとなった。
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Strategy for Future Research Activity |
被験者のリクルートを促進し、令和元年度は比較的データ収集に進捗がみられたが、依然、当初に計画していたデータ収集数を下回っている。研究期間の延長を申請し、本年度も可能な限り、数理モデル構築のためのデータ収集を行い、そのデータを元に数理モデル構築を行うことを計画している。
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Causes of Carryover |
令和元年度は、前年度までと比べてデータ収集の進捗があり、物品費としての使用が多く、生じた次年度の使用額は非常に少ないが、データ収集、解析等に関わる物品費として今後、使用予定としている。
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Research Products
(5 results)