2017 Fiscal Year Research-status Report
インスリン抵抗性の制御に関与するメタロプロテアーゼの同定とその調節機序の解析
Project/Area Number |
17K16151
|
Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
川崎 修二 熊本大学, 医学部附属病院, 医員 (70706415)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | インスリン抵抗性 / メタロプロテアーゼ |
Outline of Annual Research Achievements |
報告者らは、成熟TNFα分泌に不可欠なメタロプロテアーゼ(MP)であるa disintegrin and metalloproteinase 17 (ADAM17)の発現・活性が、肥満・糖尿病状態の脂肪組織(WAT)で増強、カロリー制限(caloric restriction; CR)により抑制されることを証明した。 肥満・糖尿病モデルKK-Ayマウス(Ay)および対照KKマウス(KK)を用いて、肝、骨格筋およびWATにおけるADAMs (ADAM9、10、12、17)およびmatrix metalloproteinase 9 (MMP9)のmRNA発現を検討した。結果、AyではKKと比較して肝およびWATにてADAM9、10、17が上昇、CRによってWATのADAM10、17、MMP9が減少、ADAM12が上昇したが、肝および骨格筋では影響が無かった。肥満・糖尿病状態によりmRNA発現が上昇、かつCRにより減少するのは、WATのADAM10、17であった。Ayの脂肪組織において、TACE蛋白はproform (135 kDa)とmature form (95 kDa)の2つが強く検出され、かつ活性も増大、JNKのリン酸化も増強していた。そこで、JNK阻害薬をAyに投与すると、TACE mature formがほぼ完全に消失、活性も抑制された。さらに、Ayでは血液中へのTNFα放出が増加していたが、JNK阻害薬投与によりTNFαのmRNA発現に影響することなく、TNFα放出が抑制された。 WATのADAM10、17は、肥満・糖尿病状態にて発現が上昇かつCRにて発現が低下した。両分子は成熟TNFα産生を促す酵素であり、これらはJNKなどの炎症性シグナルにより制御を受け、肥満・糖尿病状態におけるインスリン抵抗性に関与することが予想され、治療戦略の重要因子のひとつと考えられる。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
期待した結果が得られない場合に同じ実験を反復し、期待した進捗が得られなかったため。また、職名や職場の変更等、研究以外の業務に時間を取られたことも影響した。
|
Strategy for Future Research Activity |
研究計画としては、これまでと大きく変更せず、ADAMsのノックダウンやトランスジェニックマウスの作製準備、エクソソームの単離実験の準備に取り掛かる。実験の分担は、実験精度の確保、円滑な実験進行のため、各研究者が得意な分野について協力・指導を依頼する。
|
Causes of Carryover |
当該年度の経費はほぼ全て使用したが、残額が1万円未満であり、必要物品を購入するには端数となったため。意図的に残額を生じさせたわけではなく、翌年度の使用計画も当初と大きな変更は無い。
|