2018 Fiscal Year Annual Research Report
Pathogenesis of ectopic calcificaion in disorders of calcium and phosphate metabolism.
Project/Area Number |
17K16161
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
木下 祐加 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (00746729)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | FGF23 / 腫瘍性骨軟化症 / 低リン血症 / Klotho |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、Ca・リン代謝異常症に見られる異所性石灰化の機序を明らかにすることを目的としている。後天性のfibroblast growth factor 23 (FGF23)関連低リン血症性疾患である腫瘍性骨軟化症(TIO)を対象とし、骨以外の間葉系腫瘍からFGF23が産生される機序を検討した。 2017年度は、耳下腺に発生したFGF23産生腫瘍を用いてRNAシークエンスを行い、腫瘍におけるKlothoの発現上昇を確認した。腫瘍DNAを用いてKlotho遺伝子のプロモーター領域のDNAメチル化解析を行ったが、Klotho遺伝子のプロモーター領域DNAメチル化と、Klotho遺伝子/蛋白発現量に関連を認めなかった。 2018年度は、TIOにおけるKlothoとFGF23の関係を検討した。TIO患者の手術前の血中FGF23濃度と血中Klotho濃度を比較した結果、両者に有意な相関を認めなかった。したがって、遊離型Klothoではなく、膜型KlothoがTIOの原因腫瘍からのFGF23産生に関与していると考えた。さらに、腫瘍組織の免疫染色の結果、TIO13例中11例にERKのリン酸化を認めた。FGF23はKlothoとFGF受容体1c (FGFR1c)の複合体に作用し、下流のMAPK経路を活性化することが報告されている。同時に、骨細胞におけるFGFRシグナルがFGF23産生を促進する可能性も報告されている。したがって、TIOの原因腫瘍から分泌されたFGF23が腫瘍に発現するKlotho/FGFR1cに作用し、FGF23産生を促進する可能性が考えられた。以上の結果から、腫瘍性骨軟化症の原因腫瘍におけるKlotho発現は、腫瘍内の間葉系細胞の骨芽細胞分化(異所性石灰化)を反映するとともに、腫瘍からのFGF23産生調整に関与していると考えた。
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