2019 Fiscal Year Annual Research Report
Hematopoiesis regulation by Toll like receptor signal pathway
Project/Area Number |
17K16177
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
郭 永梅 秋田大学, 医学部附属病院, 助教 (20617386)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 造血制御 / LPS / TLR4 / CD34+細胞 / 顆粒球 |
Outline of Annual Research Achievements |
我々はこれまでに、病原微生物由来物質(ssDNAやdsRNA等の核酸)は、パターン認識受容体(pattern recognition receptors, PRRs)の介在・非介在の両経路において、ヒト造血幹細胞(CD34+細胞)の増殖や分化を制御すること、その結果宿主の生体防御反応を抑制したり、自己免疫を誘導すること、を明らかにしてきた。 平成29年度は、PRRs介在経路として、グラム陰性菌の細胞壁外膜成分であるリポ多糖体(lipopolysaccharide, LPS)がPRRsの一種であるToll様受容体(Toll like receptor, TLR)のTLR4を介して、CD34+細胞から顆粒球系・単球系細胞への分化・増殖を促進したことを発見した。 平成30年度は、CD34+細胞を含む各培養段階の細胞におけるTLR4の発現、LPSによるTLR4発現の影響を確認した。また、FACS、ELISA、Western-blot法を用いて、TLR4下流シグナル経路の蛋白質のリン酸化の同定、及びこれらの阻害剤による関連シグナル伝達経路を解析した。 平成31年度においては、LPSはTLR4またその下流にあるMAPK(ERK、JNK)及びNF-κBシグナルを介して、炎症性サイトカインIL-6の産生を促進し、さらに、顆粒球系・単球系の転写因子であるPU.1及びC/EBPβの発現を増強させる機序で、顆粒球系・単球系への分化・増殖を促進したことを明らかにした。 すでに報告したように、ssDNA及びdsRNAがPRRs非介在の経路でヒト造血幹・前駆細胞の増殖や分化に影響する。細菌感染の時、応急的な好中球増加や左方移動が臨床的な常識であったが、その機序は不明であった。本研究は、細菌が人体に侵入された後、LPS等細菌由来物質はPRRsを介する造血制御で宿主の生体防御反応を誘導することを明らかにした。
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