2017 Fiscal Year Research-status Report
悪性リンパ腫におけるヒストン脱アセチル化酵素が制御するmiRNAの網羅的探索
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17K16178
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Research Institution | Kameda College of Health Sciences |
Principal Investigator |
北舘 明宏 亀田医療大学, 総合研究所, 客員研究員 (90791559)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 悪性リンパ腫 / T細胞リンパ腫 / CCR4 / HDAC阻害剤 / ボリノスタット |
Outline of Annual Research Achievements |
悪性リンパ腫におけるHDAC阻害剤により発現回復するmicroRNAの探索から、その標的蛋白と考えられるケモカインレセプターの発現制御を見出した。中でも悪性リンパ腫において、治療標的としても重要なケモカインレセプター CCR4がHDAC阻害剤により発現低下することを見出した。HDAC阻害剤によるCCR4の発現低下は、mRNAレベルの低下から確認でき、フローサイトメトリーにてその蛋白発現の低下を確認した。成人T細胞白血病/リンパ腫の他、皮膚T細胞リンパ腫、NK/T細胞リンパ腫など種々のT細胞リンパ腫細胞株において広く認められた。さらに、CCR4の発現低下により、実際にこれらの細胞の遊走能が低下することをマイグレーションアッセイにて確認した。CCR4はT細胞リンパ腫における分子標的薬、モガムリズマブの標的蛋白として知られている。実際に、HDAC阻害剤により前処理したT細胞リンパ腫細胞株において、モガムリズマブによるADCC(抗体依存性細胞障害)活性を測定すると、HDAC阻害剤処理によりこのADCC活性が低下すること、すなわちモガムリズマブの治療効果を損なう可能性があることを見出した。今後T細胞リンパ腫の新規治療としても広く用いられるであろうHDAC阻害剤によりCCR4が発現低下することは、T細胞リンパ腫の治療戦略上非常に重要な知見と思われる。本知見は第59回米国血液学会において、口演発表にて報告した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
悪性リンパ腫におけるHDAC阻害剤の重要な標的蛋白としてCCR4を同定した。すでに臨床応用されている抗体薬であるモガムリズマブは、このCCR4タンパクを標的としており、悪性リンパ腫の治療戦略上重要な知見と考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
実際にHDAC阻害剤が投与された臨床検体を用いて、CCR4タンパクの変動を確認していく。また、T細胞リンパ腫の臨床検体を用いて、細胞株で見出した結果が、臨床検体でも同様に生じるかを確認する。さらに、臨床検体でのmicroRNA解析から、HDAC阻害剤がいかなるmicroRNAを介してCCR4発現制御に関与しているか、その詳細な機序を明らかにしていく。
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Causes of Carryover |
今年度はmiRNAの網羅的解析を施行する回数が少なかったため、次年度使用額が発生した。来年度は、患者検体における発現解析に使用する予定である、また、現在準備中の英語論文、国内外の学会参加費も支出予定である。
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Research Products
(2 results)