2017 Fiscal Year Research-status Report
ポリコーム群遺伝子Pcgf1による造血分化制御とがん抑制機構の解明
Project/Area Number |
17K16180
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
中島 やえ子 千葉大学, 大学院医学研究院, 特任助教 (50749497)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | Pcgf1 / エピジェネティクス / H2AK119ub1 / 造血幹・前駆細胞 / Cebpa / JAK2V617F |
Outline of Annual Research Achievements |
Pcgf1が造血幹細胞の分化過程において骨髄球分化の抑制因子として機能する際の標的遺伝子の候補遺伝子としてCebpaを既に同定していた。今年度はその検証を行った。まず、Pcgf1欠損マウスにおいてCebpa遺伝子の発現が亢進していることから、Cebpa遺伝子の発現を抑制することでPcgf1欠損マウス表現型のレスキューを試みた。Pcgf1とCebpaのコンパウンド欠損マウスから造血幹・前駆細胞分画を単離しTst4細胞と共培養することで骨髄球細胞とB細胞への分化能を調べた。Pcgf1単独欠損細胞は骨髄球細胞分化が亢進、B細胞分化が減弱しているがコンパウンド欠損マウスでは、その傾向が抑制され、表現型がレスキューされた。さらに野生型細胞にCebpaを過剰発現させるとPcgf1単独欠損細胞と同様の分化傾向を示した。また、EML細胞にFlagタグ付きPcgf1を過剰発現しFlag抗体でのChIP-seqを行なった。その結果、CebpaのプロモーターにはPcgf1が結合することが明らかになった。以上よりCebpa遺伝子はPcgf1欠損マウスの表現型をもたらす標的遺伝子であると同定した。 骨髄線維症の病態促進に関わる、がん抑制遺伝子としてのPcgf1機能を明らかにするための骨髄増殖性疾患のマウスモデルとpcgf1欠損マウスのコンパウンドマウス(JAK2V617F/Pcgf1Δ/Δ)の解析に関しては、順調に観察数が増え、再現良く早期に致死性の骨髄線維症を発症し死亡することが観察されている。そこで、造血幹・前駆細胞分画を単離しRNA-seq、ChIP-seqを行なった。来年度、その詳しいデータ解析を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
Cebpaを用いたレスキュー解析とFlagタグを用いたChIP-seq解析より、CebpaがPcgf1の直接の標的遺伝子であると同定できた。また、骨髄増殖性疾患のマウスモデルとpcgf1欠損マウスのコンパウンドマウスの解析に関しても観察数を順調に増やすことが出来、当初計画していた解析を全て終了することが出来た。さらには来年度行う予定であったモデルマウスを用いたRNA-seq、ChIP-seqもすでにスタートすることが出来ている。したがって、当初の計画以上に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
生理的な状況では骨髄球増多反応は感染などが起こると生じる。実際に野生型マウスにLPSを投与後、骨髄を解析すると骨髄球前駆細胞とMac1+細胞の集積を観察することができた。これはPcgf1欠損マウスとよく似た表現型である。そこで、Pcgf1による骨髄球分化の抑制機能と骨髄増多反応時の強力な骨髄球分化が促進の関わりに注目して解析を行う。 骨髄増殖性疾患のマウスモデルとpcgf1欠損マウスのコンパウンドマウスに関しては昨年度おこなったRNA-seq、ChIP-seqデータの解析を行い病態進展に関わる標的遺伝子の同定を試みる。さらに薬剤投与による病態の治療モデルの確立を目指す。
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