2017 Fiscal Year Research-status Report
家族性骨髄異形成症候群の原因遺伝子の探索および機能解析
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17K16181
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
高岡 賢輔 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (60793180)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 家族性骨髄異形成症候群 |
Outline of Annual Research Achievements |
HLTF変異体のin vitro での機能解析を施行した。最初にshRNAの系を用いHLTFをノックダウンしたヒト赤白血病細胞株(HEL)およびempty vector(EV)、HLTF野生型、変異体を過剰発現したHELを用いて細胞増殖能を解析した。HLTFノックダウン細胞はEV過剰発現細胞(コントロール細胞)と比し増殖能に有意差を認めなかった。HLTF過剰発現の系においてもコントロール細胞に比しHLTF野生型、変異体過剰発現細胞の増殖能に有意差を認めなかった。同様の系にてAnnexin Vを用いアポトーシスについて解析した。HLTFノックダウン細胞はコントロール細胞と比しapoptosis statusに有意差を認めず、EV過剰発現細胞と比しHLTF変異体においてもapoptosis statusに有意差を認めなかった。次にC57BL/6マウスより骨髄細胞を回収後、単核球を分離しセルソーターを用いてc-kit陽性細胞を回収した。その後EV, HLTF野生型、変異体を過剰発現し半固形培地を用いてコロニー形成細胞アッセイを施行した。HLTFをノックダウンしたマウス骨髄細胞におけるコロニー形成細胞アッセイの結果とは異なり、EV、野生型、変異体を過剰発現した骨髄細胞におけるコロニー形成能(継代数)に有意差を認めなかった。HLTF野生型(WT)はMMS2/UBC13と結合し、増殖細胞核抗原(PCNA)をポリユビキチン化することが報告されている(PNAS2008)。HLTF変異体とMMS2、PCNAにおける結合能について免疫沈降法を用いて評価した。HEK293T細胞を用いたHLTF過剰発現の系で、HLTF変異体とMMS2の結合がHLTF野生型との結合に比し減弱することが免疫沈降法により示唆された。同様にHLTF変異体とPCNAの結合について免疫沈降法を用いて評価したがPCNAについてはHLTF野生型、変異体の結合能に差を認めなかった。p53ヘテロノックアウトマウスの骨髄細胞にEV、HLTF野生型、変異体を過剰発現し致死量放射線を照射したC57BL/6マウスに移植するマウス骨髄移植モデルを作製し現在解析中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
In vitroにおけるHLTF変異体のHLTF野生型との生物学的機能の差異について解析した。先行する研究でHLTF野生型および変異体を過剰発現したヒト赤白血病細胞株(HEL)において、γH2AXの免疫染色により細胞1個あたりのγH2AX fociの数を解析した。コントロールとHLTF変異体過剰発現細胞ではγH2AX fociの数に有意差を認めなかったがHLTF野生型過剰発現細胞と変異体過剰発現細胞ではγH2AX fociの数に有意差を認め(変異体>野生型)、HLTFの機能喪失型変異が示唆された。HLTF野生型および変異体の過剰発現の系で半固形培地を用いてコロニー形成細胞アッセイを施行した。EV、野生型、変異体を過剰発現した骨髄細胞におけるコロニー継代数に有意差を認めなかった。さらに、shRNAの系を用いHLTFをノックダウンしたHELおよびempty vector(EV)、HLTF野生型、変異体を過剰発現したHELを用いて細胞増殖能とapoptosis statusを解析しDNA傷害との関連を探索した。増殖能およびapoptosis statusはHLTFノックダウンおよび過剰発現の系においてコントロールと有意差を認めなかった。同様にin vitroの系で免疫沈降法を用い、HLTF変異体のMMS2、PCNAにおける結合能について上記の通り解析した。HEK293T細胞を用いたHLTF過剰発現の系で、HLTF変異体とMMS2の結合はHLTF野生型との結合に比し減弱することが示唆された。またPCNAとの結合についてはHLTF野生型との結合能に差を認めないことが示唆された。現在p53ヘテロノックアウトマウスの骨髄細胞にEV、HLTF野生型、変異体を過剰発現し、C57BL/6マウスに移植するマウス骨髄移植モデルを作製し解析中である。以上のようにin vitroの系におけるHLTF変異体の機能解析を施行しており、進捗としては概ね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はマウス骨髄移植モデルを用いてin vivoの系でHLTF変異体が造血器腫瘍発症に与える影響を解析すること、およびHLTF変異を有する家族性骨髄異形成症候群の治療標的を探索することを目的とし以下の解析を行う。 ○HLTF変異体(GFP陽性)を過剰発現したマウス骨髄移植モデルでの機能解析:p53ヘテロノックアウトマウス骨髄細胞にHLTF変異体を過剰発現し致死量放射線を照射したC57BL/6マウスに移植するマウス骨髄移植モデルを作製し、現在キメリズムおよび採血データを解析中である。必要により今後コホート数を増やし解析する。移植マウスの表現型としては1系統以上の血球減少および骨髄塗抹標本における骨髄細胞の異形成の有無を確認する。このような骨髄異形成症候群に特徴的な表現型が得られれば移植後のGFP陽性骨髄細胞を回収しセルソーターを用いHLTF変異が導入されている細胞集団から造血幹/前駆細胞分画を分離する。HLTF変異が他の遺伝子発現に与える影響を網羅的に解析するため、分離した細胞を用いてRNAシーケンスやマイクロアレイなどのオミクス解析を施行する。 ○HLTF変異を有する家族性骨髄異形成症候群の治療標的の探索:HLTF変異を過剰発現させたHEL、およびHLTFをノックダウンしたHELを用いて免疫調節薬、免疫抑制剤、分化誘導療法など既存の骨髄異形成症候群の治療に使用する薬剤の効果を解析する。また白血病治療薬として使用される薬剤(代謝拮抗薬、抗腫瘍抗生物質、トポイソメラーゼII阻害薬、微小管阻害薬など)について同様の系で薬剤スクリーニングを施行し薬効の高い薬剤を選別する。
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Research Products
(3 results)
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[Presentation] Human Germline HLTF E259K Mutation Identified in Familial MDS Patients Accumulates DNA Damage through Impaired PCNA Polyubiquitination2017
Author(s)
Kensuke Takaoka, Masahito Kawazu, Junji Koya, Akihide Yoshimi, Yosuke Masamoto, Hiroaki Maki, Takashi Toya, Takashi Kobayashi, Yasuhito Nannya, Shunya Arai, Hironori Ueno, Kenshi Suzuki, Hironori Harada, Atsushi Manabe, Yasuhide Hayashi, Hiroyuki Mano, Mineo Kurokawa
Organizer
59th ASH Annual Meeting & Exposition
Int'l Joint Research